独特の語り口で紡がれる本作。
やわらかくて軽妙な文体にオリジナリティを感じました。
そしてその文体で進行していく物語はとても不思議。けれども、容易に受け入れられる。そこがまた不思議でした。
二人のジャックの元に現れた一人の少年。
やんちゃな少年が二人と接する間に変化していきます。
二人のジャックの内の一人、ジャック・オー・ランタンは彼の変化を望んだりしません。そこに安らぎを覚えました。
人は、幼い子の変化を成長と捉えることが多いです。だかれそれを求めます。しかし、ときには変化をしなくても良いこともあります。少年にとってなにが最良であるかどうかは、大人や周りの他人が決めるのではなく、少年本人が決めるべきことなのです。
本作ではそういった説教めいた話は語られないのですが、伝わってきます。だからこそ、彼らのやさしさが胸に染みました。
この冬、焚火(スウェーデントーチ)のようなストーリーで温まっていきませんか?