『恋愛相談を待っている』とタイトルにある通り、主人公のステラさんは恋バナ大好きな公爵令嬢。
同時にある乙女ゲームの悪役令嬢でもあります。ですからこのままなにもしなければステラさんは『破滅』してしまうわけです。
そこで、ステラさんの執事であるロイドさんはステラさんを守るためにいわゆる『破滅回避』を試みます。
しかしステラさんは持ち前のポジティヴと度胸と恋バナ好きを発動させ、ぐいぐい行きます。ロイドさんの静止を振り切って、ぐいぐいぐいぐい行きます。
そこに悪役令嬢補正が重なって、ステラさんは意図せず悪役令嬢方向に……!?
基本的にはコメディタッチで描かれる、(他人の)恋愛ものなのですが、破滅を回避しなければいけないと言う制約がピリリと緊張感を持たせてくれます。
自分の欲求に忠実なステラさんと、破滅回避に忠実なロイドさんのやり取りが楽しいです。ステラさんがぶっ飛んだ発言をすれば、ロイドさんがクールに返す。コミカルに繰り広げる会話を聞いていると、読書をしながらにその場に居合わせているかのような錯覚を得られます。
ステラさんは他人の恋バナに貪欲ですが、自分は全然恋愛をしません。
でも、「おや?」「これは?」「もしかして?」と思う場面が要所要所に出て来ます。読んでいるこちらは思わずにやにやしてしまいます。こうしてステラさんが他人の恋バナが好きな理由を知ることが出来るわけですね。この仕組みがとても秀逸だと思いました。
第一章のメインはステラさんの目的の明確化、キャラ出し、騎士団内での恋愛事情の解決。と言ったところで、これからまだまだ広がりを見せてくれそうです。
悪役令嬢者が好きな方、恋バナが好きな方、コメディが好きな方。まだ一章が終わったばかりなので、追いつけます! 文字数にすると10万字を越えておりますが、一人称でテンポよく進む地の分も、掛け合いが楽しい会話文も非常にリーダビリティが高いので、10万字の厚みは気になりません。ぜひとも連載を追ってみてください。
※こちらは第一章読了時点での感想になります。二章以降感想が異なる可能性がありますがご了承くださいませ。
女性主人公が主人公(ヒロイン)ではない、という意外な設定から始まるラブコメディ。
主人公は完璧な執事から、ある衝撃の事実を伝えられる。それは、この世界が恋愛趣味レーションゲームの中であり、主人公はそのゲームの悪役令嬢として転生したということだ。しかも、前世の記憶を持っているのは、主人公とその執事、そしてゲームの中でヒロインと結ばれる相手であり、主人公の婚約者である王子だ。そしてこの王子の趣味はいわゆる百合であり、ヒロインと主人公の仲を推していた。
主人公は悪役令嬢ながら恋愛ものは大好物。そこでこの世界(ゲーム)を有効活用して、恋愛相談を受け付けることに。まずは友人の女性騎士と騎士団長の仲を取り持つことに心血を注ぎ始めるが、上手くいかない。何故ならこの二人、お互いを騎士として意識するが故に、両想いにもかかわらず、どちらからも告白できずにいたのだ。告白には決闘の勝敗が大事? 何故そうなる⁈
そこに、ドジっ子キャラのヒロインが乱入し、何と百合推しだった王子がヒロインに一目惚れをしてしまう。こうなったら、ここもくっ付けてやりたい。しかし王子が百合と恋愛の間で悩み始めて?
しかも主人公の執事に王子の妹が惚れこんでいるらしく?
これだけの主要キャラクターがいながら、とても読みやすく、ラブコメディ好きな方には、特におすすめです。キャラクターの造りが巧く、ヒロインとそれを冷静に支える執事は、もはやボケとツッコミに見えてくるほどです。
果たしてヒロイン……いや、主人公(悪役令嬢)の恋はあるのか?
そしてキャラクターたちの恋を成就させ、
バッドエンドをハッピーエンドに変えられるのか⁈
是非、御一読下さい!