菩薩の怒りが宇宙を舞う

宇宙、辺境、猫、図書館、磁場嵐、僧侶のクローン。
魅力あふれる設定の中にシニカルなテーマが落とされ、倦怠感を纏った物語が動き出します。

この独特の空気感は、この作品でしか味わうことができないでしょう。

宗教ってなんだろうねという問いかけと共に本は強いという主張がされている(ように思う)のですが、その辺りの「尖りがち」なメッセージが孤立せず物語に溶け込み、読み終えたら理解と解決が同時に来る素晴らしい構成となっておりました。
問い掛けの答えは作者側が提示しないという投げっぱなしの作風も、大変好みでした。

SF好きな方はもちろん、テーマ性を重んじる方にも強くお薦めします。
あっ。単純に猫が好きってだけでも一見の価値ありです。

その他のおすすめレビュー

詩一さんの他のおすすめレビュー413