ギリシャ神話を齧ったことがあるというのもはばかれるくらいギリシャ神話がどんなものなのかも知らない私ですが、本作は楽しく読み進めることが出来ました!
神々はすごく大きな存在で、神様は人間のことをちっぽけなものみたいに思ってるんだなーと思う反面、人間臭さをのぞかせる神様もいて、とっても興味深い内容でした!
特にアポロンのキャラ設定が絶妙で、良い人なのか、悪い人なのか、どっちでもないのかと考えながら読むのが楽しかったです☆
主人公のエストリーゼが人間らしい感情で神々に立ち向かう姿がとっても印象的でした!
神話がお好きな人に特におススメな作品です。
ギリシア神話を題材にとり、筆者が独自の視点で描いたオリジナリティあふれるファンタジー。でも神話に通じていなくてもその展開の面白さに思わずページを繰りたくなるでしょう。
女神アテネを継承する人間の少女エストリーゼ。人間の心──恐れ、悩み、苦しみに満ちた心──を持ち続けながらも自分の運命を受け入れ前に進む主人公の変貌がよく描き出されています。ひとつの成長物語といってもよいかもしれません。
登場人物(神々)も個性的です。なかでも特筆すべきは太陽神アポロンのキャラクター。美しく力にあふれながらも非常に複雑な人間(神様)性を持ったアポロンがこのお話をさらに魅力的にしています。
ミステリー仕掛けの構成も巧みに読者を引っ張り、後半の種明かしにかけてのストーリー展開にはダイナミックな勢いがあります。
綿密な描写で主人公が直面する混沌の世界を描きながら、その先へとつながる未来も予感させる物語。
壮大な一編の詩を読むような感触を覚えるダークファンタジーです。
本来難解なギリシャ神話が、驚くほどわかりやすく書かれています。
ギリシャ神話に出てくるオリュンポスとティターンの神々の設定をしっかりと踏襲しながらも、それらが個性的なキャラクターになっており、読者を楽しませます。特にアフロディーテさんが良いキャラしていました。
また、これは神々の戦いに巻き込まれた人間——主人公エストリーゼの成長物語がメインストーリーとなります。
神話の世界観を味わいつつ、一人の人間のドラマをしっかり感じることが出来ます。
神話の体系を崩し過ぎず、しかし固くなり過ぎず、オリジナリティが溢れている。このバランス感覚は相当素晴らしいと思います。創作する側の人にはこのバランスを保つ難しさがわかると思います。しかし、その難しさを読者には感じさせないと言うのがまた凄い。実は私は読んでいる最中に「これは難しいぞ」と感じなかったのです。こうしてレビューを書くにあたり、ストーリーを振り返ったときにようやく「作者は相当難しいことをやってのけている」と気付いたくらいです。それくらいにストレスフリーでした。
一話一話が大変短いので、僅かな隙間時間で読むことが出来ますし、自分の好きなタイミングで栞を挟むことが出来ます。短いと言ってもシーンがぶつ切りと言うわけではないので、一気読みも可能です。大変重い話のときも少しずつ進められるので、自分のお好みに合わせた読書が出来るのもこの作品の良いところだと感じました。
ギリシャ神話を知っている人はもちろんですが、知らない人も楽しめる内容だと思います。これからギリシャ神話を知りたいと言う人にもお薦めします。
エストリーゼは、劇場で楽団が動くのを待っています。
世にも見事な歌声を持つ少女は、その緊張感に負けないでいました。
所が、太陽神アポロンが指揮者として現れます。
どうしてでしょうか。
混乱の中、女神アテナの継承者とも呼ばれるようになります。
全能の神ゼウスなども登場して、もう天地がひっくり返ったようです。
神々だけが行き来できる神膜と呼ばれる境目が際立って面白い働きをしていると思います。
アテナとグラウコーピスが長く一緒に過ごして来たようです。
そのアテナとの別れを簡単にグラウコーピスが認められる訳がありません。
新しいアテナ、エストリーゼをこれから聡明なグラウコーピスが導いてくれるでしょう。
それから、アポロンは、ユニークと言う意味で変わっていると思います。
文体は、行間があり、詩を読むような若しくは歌うような気持ちで読まれると良いかと思われます。
是非、ご一読ください。
美しい声に恵まれた少女エストリーゼは、ある出来事をきっかけに女神アテナの後継者に選ばれて、神々の戦いへと身を投じることに……。
そして、女神アテナの力を継承した少女を中心に動き出す、新たなギリシャ神話は読み手を惹きつける世界観です(*´ω`*)。
登場人物はギリシャ神話の中でも有名な神々、太陽神アポロン、愛と美の女神アフロディーテ、全能神ゼウス……などが、名を連ねていますが、どの神様も魅力的な性格をしているので会話文は楽しく、壮大な世界観と美麗な文章は読んでいて心が踊ります!(*´ω`*)
壮大な異世界ファンタジーを読みたい方に、是非オススメします!
出会ったのは瀕死の女神アテナ。その力を受け継いだ人間の少女エストリーゼ。すべては家族と村をたすけたい一心で――。
ギリシャ神話をモチーフに描かれた、神の力を継承した人間の少女の物語。
次々と悲劇に襲われるエストリーゼ。その過酷な運命はまさにダークファンタジーですが、読後感はすがすがしく、なんとも不思議な余韻に包まれます。また1話1話が短く大変読みやすい構成になっているので、ラストまで無理なく到達できます。
なによりそれぞれのキャラがとても魅力的で、神様たちはほどよく人間くさいです。むしろ人間より人間くさいです(ほめてます)中でもエストリーゼの助けとなるはずの太陽神アポロンの強烈さはぜひ直接確かめていただきたい。
元のギリシャ神話を知らない方も知っている方もきっとハマる。新たな神話の世界をぜひ体験してみてください。
一話あたりのエピソードが読みやすく、物語の中にスッと入って行けます。またそのエピソードも個性的なキャラクター達によるドラマが描かれ、正に神話の新訳と言う感じがします。主人公の少女も魅力的。
自分はあまりギリシャ神話に詳しくありませんでしたが、この作品を読ませて頂き、ギリシャ神話への興味が湧きました。神話は、ファンタジーの原点。その原点をこんなに面白く描ける作者様の技量には、尊敬以外の何ものもありません。神話には、疎いと言う貴方。ファンタジーは、苦手だと言う貴方。是非、この物語を読んでみて下さい。きっと、素晴らしい世界が貴方を待っている筈です!
故郷の村を救うため、太陽神アポロンに助けを求める少女エステリーゼ。しかしアポロンは素直にその頼みを聞いてはくれず、しかも彼女の身に宿ったアテネが、全く予想もしない運命に誘います。
ギリシャ神話がモチーフのファンタジーで、数多くの神々が織り成す物語となっていますが、出て来る神々が実に個性的。
まずヒーローポジションのはずのアポロンが、傲慢変態偏屈と言う神にもヒーローにもあるまじき方。他にも、美の女神アフロディーテや全能神ゼウスに、これまで抱いていたイメージが変わる事になるかも。
ですがそんな神々がどこか人間臭くも見えて、それがこの物語の大きな魅力では無いかと思います。
人の身で神の世界に赴くことになったエステリーゼの、壮大な物語が始まります。
まず、言いたい。伝えたい。『とても良かった』と。
読み終えた時、余韻を楽しむために抱える本が、私の手元に無くて残念でした。
そして、感謝したい。この出会いに。
数ある神話の中でも、ギリシャ神話って、人間くさくて私は結構好きです。
そして、この物語はそれを余すところなく伝えてくれる。
しかも、古代ギリシャにおける四つの愛をそこに織り交ぜて物語ってくれていると私は感じました。
女神アテナを受け着いた人間、エストリーゼ。彼女は最初人間でした。そこに瀕死のアテナが現れます。その目的や意思はここでは書けません。ですが、神としての彼女はエストリーゼにその力を託します。
そこから物語はゆっくりと綴られていく。
太陽神アポロン。美の女神アフロディーテ。賢者グラウコーピス。
それぞれが、色鮮やかに描かれている。四つの愛を織り交ぜて。
そして、人間というものを、神話を通して物語っているようにも感じます。
さあ、開演の時は満ちた。これ以上私がいうのは野暮です。でも、最後に一言。
新しい神話の世界へようこそ! 皆さまが、新しい伝承者です。
ギリシャ神話をモチーフにしたダークファンタジー小説。
ギリシャ神話ってよく知らない、なんだか難しそうってイメージを持ってしまう人もいるかもしれませんけど、ご安心を。
知識が無くても、十分に楽しめます。面白いです! 自分はギリシャ神話はあまり詳しくありませんでしたけど、すぐに物語の世界に引き込まれていきました。
まず主人公のエストリーゼが、健気で良い子なのですよ。貧しい村で生まれて、妹や村の人達が病で苦しむ姿に心を痛めていた彼女ですが、ふとしたことから女神アテネと出会い、その力を受け継ぎます。つまり神さまになったわけです。この手に入れた神様の力で、皆を助けられると信じて。
しかし、現実はそう上手くはいきませんでした。アテネを継承したことによりエストリーゼは、神々の争いに巻き込まれてしまうのですよ。
しかもその神々と言うのがくせ者揃いで。特にアポロン! 本家ギリシャ神話では詩歌や音楽などの芸術方面に優れた神様で、この作品でもそれは健在なのですが、正確に少々……いえ、だいぶ難ありな方なのです。
先述の通り、自分はギリシャ神話にはあまり詳しくないのですが、これだけは言えます。ギリシャ神話のアポロンは、きっとここまでぶっ飛んだ奴じゃありません!
だけど物語の雰囲気を壊すわけでは無くて、むしろ深みを出してくれる、不思議な魅力を持った奴でした。
神々に翻弄されながら、心を折られそうになるエストリーゼ。次々と襲い来る悲劇と過酷な運命は、ダークファンタジーの名に恥じないものとなっています。
神話は難しそうだなんて苦手意識を持ってはいけません。絶望を乗り越えながら、運命に挑むエストリーゼの活躍を、どうぞご覧下さい。
疫病の流行る貧しい村に、一人の少女が住んでいた。
彼女の名はエストリーゼ。
ある日、病に苦しむ妹と村の救済を請うべく、エストリーゼは村の傍に堕ちた女神に会いに行く。
決して近づいてはならないという、卜(うらない)ババの予言を無視して──
健気な一人の少女がとった大胆な行動が、彼女のみならず、彼女の故郷、オリュンポスの神々、ひいては世界の運命を変えていきます。
彼女が背負うのは、あまりに悲愴で過酷な宿命。
けれども、人間の心を持ったまま女神を継承することになる彼女にしか成し得ない未来を託されるのです。
彼女が出会う神々は、アテナ、アポロン、アフロディーテ、ゼウスなど、誰もがその名を耳にしたことのあるギリシャ神話の神々たち。
元々俗っぽいところのあるイメージのギリシャの神々ですが、本作ではそこに作者様オリジナルのキャラ設定を加え、とても個性的で魅力的な人物(?)に仕上がっています。
ある者は味方となり、ある者は敵となり、多くの神々を巻き込んで、運命の歯車は回り始めます。
『神々の鎮魂歌《レクイエム》』という壮大な物語の中で、本作はその序章とも言える始まりの物語にほかなりません。
誰もが立ち向かうことを諦めてしまうような壮大で壮絶な未来に対峙するエストリーゼの活躍を今後も期待せずにはいられません!
本作は、オリュンポス神族とティターン神族の戦争を描いたティターノマキア物である。ティターノマキア物というジャンルがあるかどうかは、知らないが。
本来神々の戦争であるティターノマキアに、戦女神アテナの死と、それを受け継ぐ人間の少女を配し、その少女の視点で神々の戦争を描いている。
物語がスロースタートのため中盤以降から勢いがつく。少女エストリーゼのキャラクターがきっちり確立されるからだろうか。
本作は人と神の物語ではなく、神々の世界に紛れ込んだ一人の少女の物語である。そのためだろうか? 人間はほぼ出て来ない。人間の少女の視点で描かれるが、神々の世界の物語なのである。
とはいえ、彼女をとりまく神々は人間臭く、それぞれに個性と行動原理が与えられ、きっちりと描き分けられている。群像劇として動き始めてからの物語は飽きがなく、それでいてストレスなく楽しめる。
読みやすい文章で描写された抒情詩のような本文と、にぎやかなキャラクターたちにより、SF的大戦ものというよりは、毎週テレビで見る連続ドラマのような感覚で読み進めることが出来る本作。
個人的にはアテナのキャラクターが好きかな。
主人公はエストリーゼという人間の少女です。
彼女は災いや魔物による危機に瀕した故郷を憂いていましたが、ある出来事をきっかけに戦神アテナの後継者として選ばれます。
そして、乱れた世界を安定させるために巨人と神々の戦いに身を投じることを決意するのですが、彼女を導いてくれるはずのアポロンは一癖も二癖もある傲慢で気難しく、女たちを侍らす享楽的な神でした。
さらに、彼女がアテナを継ぐきっかけになった本来の女神アテナの死は実は誰かの手で仕組まれたものだとわかり……。
幻想的な情景描写はさながら神々を主人公にした歌劇をみているような気持ちにさせられます。
またギリシャ神話という完成された物語を、一人の少女の活劇として見事に再構築しているのも見逃せません。
最初は一人だった主人公ですが、そのたおやかさ、ひたむきさに少しずつ味方をする神も増えてきて、やがて事態を動かす中心として活躍していく展開には心惹かれるものがあります。
文体も読みやすく、それでいて神々しい独特の雰囲気がありました。
荘厳にしてファンタジックな少女の冒険の物語です。