帝国は滅ぼさせない。

作者 弓チョコ

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★★★ Excellent!!!

勇者シュクスは圧政を強いる皇帝を倒すため魔剣を手に取り仲間を集めて成長していく!
という王道ストーリーの倒される側である帝国軍の軍師を勤め上げるのが、本作の主人公アイネ。

帝国は滅ぼさせない。とタイトルにあるわけですが、実はこの帝国はめちゃくちゃ『ワルモノ』。シュクスさんが怒りに震え「この帝国を滅ぼして世界を変えて見せる!」と言っても「そりゃそうだろう」と共感してしまうほどです。奴隷制度とか他国の支配とか。
しかし帝国側のアイネさんもその状態を良いとは思っておりません。なんとかして変えたいと思うのです。生まれ持った『知識』によって。
この『知識』というのが、いわゆる異世界転生ものの『知識チート』にあたる部分になるわけですけれども、最初はそういう感覚で読んでもらって構いません。「はいはい異世界転生ものね」って感じで。その方が読みやすいですから。しかし、後半に行けば行くほどその本質がつまびらかになっていき、これがただの異世界転生ものではないと言うことに気付かされます。本当作り込まれています。これはファンタジー好きのみならずSF好きもたまらない設定だと思います。
アイネさんは帝国を滅ぼさせないように頑張ります。
シュクスさんは帝国を滅ぼすように頑張ります。
なぜか。
世界を良くしたいから。
二人とも気持ちは同じなのです。しかし出自や立場が違えば、考え方も方法も違ってくる。二人はそれぞれの正義を断行するのです。

『影杖』イエウロ
『雷刃』エンリオ
『炎鎚』ウィリア
『氷槍』クーリハァ
『毒矢』シャルナ
などなど、カッコよくて強い人々がいる中、アイネさんは魔剣どころか武器も持たずに言葉だけで戦うんです。非武装・非力の彼女は帝国軍で最弱と言えます。コネも少なく、便利な道具もないから、切れるカードが少ない。
そんな中、彼女にできることは将軍に対する『助言』と勇者に対する『説得』だけ… 続きを読む