評者は、主人公の行動を肯定する自信がありません。いじめで自殺に追い詰められていいはずがありません。では、いじめた側の罪は如何ほど?主人公の行動は重大な結末を招きます。しかし主人公は自分の意思でそれを選びました。意思と行動と結末をどう背負うか。読者も試されます。
でもたったそれだけのことに、気付けずにいる人がほとんどのように思いました。自殺は「する」んじゃない。「させられる」んだ。能動的ではなく、あくまでも受動的な行動なんだ。そう言うことが、ただの綺麗事ではなく、事実としてありのままに語られていました。ただ辛辣なだけではない。絶望の淵でも思いやる気持ちを忘れない彼女のやさしさと、強烈なまでの救いがありました。