73. TUCK & PATTI『Tears Of Joy』(1988)ほか

今回ご紹介するのは、米国のジャズ・ギタリストTuck Andress(Gt.)と、シンガーのPatti Cathcart(Vo.)によるデュオ、TUCK & PATTIです。


歌とギターというシンプルな編成ながら、公私ともにパートナーである二人の絶妙なコンビネーションは時に優しく、時に情熱的な独自の世界観を作り出しています。


独創性という意味では、Tuckの変幻自在なギタープレイに触れないわけにはいきません。


両手の全指を駆使し、一台のアコースティックギターでメロディ・コード・ベース・リズムを並行して鳴らす奏法は、現在で言うフィンガースタイルの先駆けでしょう。筆者も高校生の頃にラジオで耳にして衝撃を受けたのをよく憶えています。



◆TUCK & PATTI『Tears Of Joy』(1988)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/6MVJ4yiaHDkT2A5JKzms8P?si=CGNA_eE4RKyvlh3JYQCz5A


結成10年目にして1stアルバム。オリジナル曲とカヴァー曲を程よく織り交ぜた構成は、以降も彼らのスタンダードとして定着します。収録曲の中でも定番として知られるのが、以下に挙げた一曲です。



☆「Time After Time」


https://www.youtube.com/watch?v=IQuRbEELiJ0


CYNDI LAUPERのカヴァーです。動画はTVライヴから。情感豊かな歌唱は言うに及ばず、神がかったリズムセンスで奏でられるギターは鮮烈の極み。タッピングハーモニクスによるコード弾きはTuckの十八番ですね。




◆TUCK & PATTI『Learning How To Fly』(1995)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/0puPSoducHWVZecNk3FhtD?si=83emJrhtRcaED7s5A2LGkQ


4thアルバム。ファンキーでエネルギッシュな曲から甘いバラードまで、オリジナル・カヴァーともにバラエティに富んだ構成です。演奏家だけにとどまらない、作曲家としても優れた二人の才能を示してくれています。



◇「Getaway」


https://www.youtube.com/watch?v=MuDlna-qzV4


EARTH, WIND & FIREのカヴァーです。ギター一本だけで演奏しているとはとても信じ難い、Tuckの見事なテクニックとアレンジセンスに脱帽してしまいます。この曲に限りませんが、ベースラインのグルーヴ感は鳥肌ものです。



☆「In My Life」


https://www.youtube.com/watch?v=s4r2AqhbKRk


最後も名曲カヴァー。原曲は言わずと知れたTHE BEATLESです。Pattiの深みのある声がとても胸に沁みます。伴奏のギターアレンジも秀逸。高難度な間奏部分までさらりと再現されているのは流石の一言です。




【おまけ】


◆TUCK ANDRESS『Reckless Precision』(1990)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/7Ac7ZkoY9MXmbxsrFTsZdc?si=T5gyrAlYRDCfnWpvLmTrCA



◇「Sweet P」


https://www.youtube.com/watch?v=gjQ12ZzqPJA


こちらはTuck Andress(Gt.)のソロ作から。美しいハーモニーとパーカッシヴなリズムはまさにTuck印。微細なニュアンスまで抜かりない魅惑的なプレイに、始めから終わりまで聴き惚れてしまいます。

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