50. THE SHAGGS『Philosophy Of The World』(1969)
皆さんはアウトサイダー・アートというものをご存知でしょうか。正式な美術教育や訓練を受けた経験のない人たちが生み出すアートのことです。筆者も敬愛するヘンリー・ダーガーなどがその代表格として知られています。
『コンナ音楽堂』の記念すべき第50回目は、その音楽版とでもいうべきアウトサイダー・ミュージックの世界から、伝説の3ピース・バンドTHE SHAGGSを取り上げます。技術や理論は度外視、純粋な意欲のみに満ち
◆THE SHAGGS『Philosophy Of The World』(1969)
https://open.spotify.com/intl-ja/album/0TzI1YcMAQVdQ4yUZuy7fA?si=G4XpSAabR1SHtHAqpAjNBQ
一部でカルト的人気を誇る三姉妹バンドの唯一作は、歴史的迷盤にして名盤。とりあえず各自がギター×2、ドラムを担当していますが、そのサウンドは我々が知っているロックの概念を
◇「My Pal Foot Foot」
https://www.youtube.com/watch?v=k5T2kaFiFgg
いきなりドラムソロから始まるロックな(便利ワード)ナンバーです。ハーモニーとかリズムとか一切無視のアナーキーさは時代を先駆けたパンキッシュ。ちなみにずっとこんな感じの曲が続きますので覚悟してくださいね。
◇「Philosophy Of The World」
https://www.youtube.com/watch?v=thHcvTDGWvg
メロディ・コード・リズムの三大要素が全く噛み合っていないようで噛み合っているように感じる奇跡。各パートのアンサンブルにおける役割などまるで意に介さない、自由奔放な発想に脱帽です。
◇「It's Halloween」
https://www.youtube.com/watch?v=iH-Q59geylw
ドラムがリズムを刻んでいますが、それとは全く無関係に歌われるメロディ(ハモリの概念がないユニゾン)。これをポリリズムと呼んでいいものかどうか迷って、そのまま迷子になって帰って来れなくなりそうです。
歌詞や音響面での攻撃性は希薄ながら、ある意味恐るべき破壊力を秘めたアルバムと言えます。「これを聴かずにロックを語ることなかれ」という、音楽の神からの挑戦状なのかもしれません。
経緯や境遇はどうあれ、彼女たちは演奏しようとしています。自分たちなりのやり方で表現し、伝えようとしているのです。その姿勢こそが何よりも尊いのだと、曲がりなりにも創作や表現に携わる者として、筆者は敬意を表さざるをえません。
【おまけ】
◇「Yesterday Once More」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/2UQ2BjzmhVM6fmvxJ7k69O?si=b01a0a8b619141b5
未発表音源集からTHE CARPENTERSのカヴァー曲です。お手本があると多少は勝手が違うのかもしれず、普通に聴ける形にはなっています。ベース音が聴こえてきて「四姉妹だったの!?」という驚きもあり。味わい深し。
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