コンナ音楽堂 ～古今東西アルバム探訪～

85. 2024年の注目作(14)【プログレ】FROST*/BEARDFISH/NEEDLEPOINT

　10～11月期の注目作は、古くからのプログレ名産地、英国と北欧からお送りします。

◆FROST*『Life In The Wires』(2024)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/3s1DQqEBI2K2mDDLz2CUr3?si=Hpj27KnRRMCZLNvjvLrWsg

　UK産3年ぶりの5thは、1st『Milliontown』(2006)、3rd『Falling Satellites』(2016)に比肩する傑作。メカニカルな質感の中に垣間見る有機的なリリシズムが際立ちます。85分という大作ながら変化に富んだ音楽旅行が体験できます。

☆「Life In The Wires, Pt.1」

https://www.youtube.com/watch?v=TIH8Zy728q0

　イントロ明けの2曲目。前のめりなリズムに牽引されたポジティブなフィーリングに期待が高まります。キーボード優勢なバンドではありますが、各パートの見せ場にも注目です。序盤にさり気なく覗かせたベースのダブルストップにニヤリ。

　他にも「Evaporator」「Propergander」、そして終盤に配置された16分弱の「Life In The Wires, Pt.2」はプログレのカタルシスが存分に味わえます。

◆BEARDFISH『Songs For Beating Hearts』

https://open.spotify.com/intl-ja/album/1KHkvF7OeM7lzNrz9MKN0X?si=xiQEoYvxQCeutacH-iWDZQ

　現BIG BIG TRAINのRikard Sjöblom(Vo./Gt./Key.)率いるスウェーデンの雄、まさかの復活作は9年ぶりの9th。作風は別プロジェクトであるRIKARD SJÖBLOM'S GUNGFLYに近い伝統的プログレです。

◇「Out in the Open Part 1 - Overture」

https://www.youtube.com/watch?v=NxasoCUpePg

　5部構成となる組曲の導入はRENAISSANCEと見紛う格調高いインスト曲。テクニックがエグい。

☆「In The Autumn」

https://www.youtube.com/watch?v=Ji3vT-J7yww

　ゲストヴォーカルAmanda Örtenhagを交えてのリードトラック。前曲「Beating Hearts」から幾分のCRIMSON風味を引き継ぎつつ、牧歌的な中にも寂寥感を滲ませた風情が実に北欧らしい趣きを感じさせてくれます。

◆NEEDLEPOINT『Remnants of Light』(2024)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/3V4mduQnwQS4RnoDjUnv4D?si=mq6QvvwvTmmjuHrucreMqg

　ノルウェー産レトロプログレの6th。最初期は現在とはかけ離れた作風でしたが、3rdからカンタベリー系に近接。着実に洗練さを増した今作も、Pye Hastings期CARAVAN風な情緒彩る優しい仕上がりです。

◇「Back To Nowhere」

https://www.youtube.com/watch?v=eEqNMuD8XPU

　柔らかなギターやエレピの音色、フルートのハーモニーが遠い時代への憧憬を呼び起こします。中盤へかけて徐々に激しくなるアコギやドラム、重なり合うスキャットやオルガンが万華鏡のようなサウンドを展開。思わずうっとり。