35. KANSAS『Leftoverture』(1976)

『コンナ音楽堂』筆者の真野魚尾(まの・うおお)です。

これまでに様々なジャンルの音楽を取り上げて参りましたが、本来はプログレッシヴ・ロックを好んで聴いています。


今回は1970年代から現在まで活動を続けるKANSASのご紹介です。

メンバーチェンジを繰り返しながらも軸のブレない音楽性は叙情的かつ軽快、アメリカのバンドらしく湿り気のない爽やかな清涼感も魅力です。


加えて特徴的なのが、ヴァイオリン奏者を擁する編成です。

バンドの持つロックンロール~ハードロック的なヴァイブスと、英国シンフォニック・ロック風アプローチの化学反応は、独特の個性を生み出しています。



◆KANSAS『Leftoverture』(1976)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/7MejfRSNnrpcLZIxkeZDqR?si=-b-ktIWFRe-3i8y2p-4Rsw


邦題は『永遠の序曲』。彼らの代表作の一つでもある4thアルバムです(もう一枚は次作『Point Of Know Return』)。上で言い表したような独自のスタイルを確立させた、マイルストーン的作品と言えます。



★「Carry On Wayward Son」


https://www.youtube.com/watch?v=P5ZJui3aPoQ


冒頭曲。初手からサビメロのハモりで引き込んでいく手腕に脱帽。たけるオルガン、うなるギターはロック持つ熱量を存分に伝えてくれます。トレードマークは間奏のギター&ベースユニゾン。ドラマ性も構築力も完璧な文句なしの名曲です。



◇「Miracles Out Of Nowhere」


https://www.youtube.com/watch?v=D13zs5z3wnQ


アコギにヴァイオリン、鍵盤類と多数のパートが絡み合う中間部の対位法的パートはまるでGENTLE GIANTのよう。ハードロック色が強く表れた終盤の疾走感も素晴らしく。さらりと打ち出される変拍子も程よい緊張感をもたらしてくれます。



◇「Opus Insert」


https://www.youtube.com/watch?v=nfos2mrBJj8


入れ替わり立ち替わりの耳を引く展開。ドラマを主導するリード・ヴォーカルも然る事ながらバッキング・ヴォーカルのハーモニーも秀逸です。アンサンブルを補強し、時に隙間を縫って主張するベースが良い仕事をしています。



お世辞抜きにオール・キラーチューンの超名盤なので、数曲だけ抜き出すのも至難の業でした。


強いて挙げるなら冒頭の「Carry On Wayward Son」。プログレ好きならずとも、ロック好きを名乗るなら必聴の甘露にして完全食です。ぜひともご賞味あれ。

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