【音楽エッセイ2nd】コンナ音楽堂

23. 注目の新作2024年1～3月【プログレ編】YESTERDAYS/ELLESMERE/MESAVERDE

3月までと言いつつ、1～2月リリースのプログレ3作品です。ちょっと変わり種が多いかも？

◆YESTERDAYS『Petőfi Felhő Projekt』(2024)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/5qRjBOIdr9NBuLASBbD7Kp?si=vy7IKGcpQ2SzCH8oCDEPAw

ハンガリー産シンフォ、5曲入りEP。何でも、同国の詩人Petőfi Sándorの詩をポップソング化するコンセプトの元で制作されたとか。一方で、彼らの持ち味であるYESからの影響も色濃く保っています。

◇「Szeretném itthagyni」

https://www.youtube.com/watch?v=GZzYI6xXI_c

ノスタルジックな優しさに溢（あふ）れたサウンドからは、どことなく初期ABBAっぽさを感じつつ。それでいて隠しきれないプログレ者としての出自がテクニカルに主張するところが愛おしかったり。

◆ELLESMERE『Stranger Skies』(2024)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/3Kp5NOIds1woPrNNrsfJ4F?si=kMGo8OOYRhaMlPj89tbo_w

イタリアン・シンフォ4th、6曲入り。Phil Collins期GENESIS～Fish期MARILLION感。過去作よりも音像の輪郭や楽曲の方向性が定まった印象。Clive NolanやTomas Bodinらプログレ界の名手たちが随所にチョイ役で参加しています。

◇「Northwards」

https://www.youtube.com/watch?v=WzTH8Kyzbek

ファンタジックなイントロを経て濃厚なGENESIS味が醸し出される冒頭曲。4曲目までは4～6分台でキャッチー。12分前後ある5、6曲目ではフルートやアナログシンセの主張も増え、俄（にわ）かにイタリアンな幻想性が顔を覗かせます。

◆MESAVERDE『All Is Well』(2024)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/1XUA1CiOokrGbYsj2vNnTo?si=N1QmIowxQ0O4OPmxQISgWQ

ノルウェー発のプログレポップ、2ndフル。レトロが一周した超現代的な音像が実に新鮮。陽気なんだけどちょっと捻（ひね）くれていて、掴（つか）み所がないようでツボを的確に突いてくる……他では味わえない感覚が癖になります。

◇「Pickings For The Beast」

https://www.youtube.com/watch?v=m8WlHeiX4eo

80年代を感じさせるサウンド的記号がそこかしこに散りばめられていますが、これ見よがしなわざとらしさは皆無。あくまで飄々（ひょうひょう）と、いかにも自然体。飾り気のないヴォーカルもいい味を出しているのですよね。

【メタル編】【プログレメタル編】【プログレ編】と、3回に渡ってお送りしてきました「注目の新作2024年1～3月」は以上となります。

当エッセイは基本的に1回につき1枚のアルバムを取り上げるスタイルですが、今後も今回のように変則的な形でお届けする機会があるかもしれません。引き続きよろしくお願いします。