12. SONATA ARCTICA『Clear Cold Beyond』(2024)

真野魚尾(まの・うおお)です。再び2024年へと舞い戻って、メタルの新譜からお届けします。


今回取り上げるのは『Ecliptica』(1999)、『Silence』(2001)という初期2枚のメロディック・スピードメタル・サウンドで日本のリスナーたちを虜にした、フィンランドのSONATA ARCTICAです。


その後のメンバーチェンジや路線変更などありつつ、長らくメロスピから遠ざかっていた彼らが、久しぶりに原点回帰した新作がこちらです。



◆SONATA ARCTICA『Clear Cold Beyond』(2024)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/1tJ0DnwnwGkikzu7ZQ7ADz?si=wLxciK8JQL6fn0fkqH62wg


初期のような疾走曲が増えてメロスパー歓喜。ある意味、復活作と言って良いのかもしれません。メイン・ソングライターでもあるTony Kakko(Vo.)の伸びやかな歌声も健在です。



★First In Line


https://www.youtube.com/watch?v=VRefgBIgsTM


冒頭曲。ギターがピロピロ、ドラムがドコドコ、キーボードがキラキラ……これを待っていたんだよ! と感涙にむせぶファンも多数と推測されます。



★SONATA ARCTICA - California (Official Music Video)


https://www.youtube.com/watch?v=jJxzik6Zm6U


2曲目。ギターがピロピロ(以下同文)。さらにテンポアップして疾走感が増していますが、中間部で変化をつけることも忘れていません。



★SONATA ARCTICA - Dark Empath (Official Music Video)


https://www.youtube.com/watch?v=gxwKBpdin0Y


一方で、この4曲目のような味わい深いミドルテンポ曲もあり、作風の変遷から得た経験も確実に実を結んでいることが実感できます。



最初期と比較すれば、メロディの扇情性は幾分控えめです。その分、構成や展開、ソングライティングそのもので聴かせようという姿勢が窺えます。


例えばTr.5「Cure For Everything」や、Tr.8「Angel Defiled」など、中盤から後半にかけて盛り上げる巧みさ。後者は民族的なフレージングも印象的です。



それから、以前までは(綺羅びやかな上モノに比べて)無難だったリズムセクションが、ここに来て豊かな表情を見せてくれるようになったのも良い変化だと思いました。


熱量で押し通すだけではない、成熟されたバランス感覚が実に頼もしく感じられます。SONATA ARCTICAの入門アルバムとして、早い段階からおすすめできる快作と言えるでしょう。

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