20. WEATHER REPORT『8:30』(1979)

『コンナ音楽堂』筆者の真野魚尾(まの・うおお)です。


いきなりですが、皆様はJaco Pastoriusをご存知でしょうか。1970年代のジャズ/フュージョン界に突如現れ、輝かしい足跡そくせきを残して夭逝ようせいしたせいしゅつの天才ベーシストです。


フレットレスベースを引っ提げ、超絶技巧と革新的な奏法で無数のフォロワーを生み出したJacoの偉大さは、殊更に述べるまでもありません。


作曲やプロデュースもこなす彼の側面を語るのは後の機会に譲るとして、ベースプレイヤーとしての魅力を端的に味わえる一枚は何か? と尋ねられたら、真野は真っ先にこのアルバムを挙げます。



◆WEATHER REPORT『8:30』(1979)


Joe Zawinul(Key.)率いる伝説的フュージョン・バンドが人気絶頂期にリリースしたライヴ盤です。勿論、世界最高のベーシスト(※)Jaco Pastorius(Ba.)も堂々メンバーに名を連ねています。


※そう自称してバンドに売り込みをかけたエピソードがあります。



◇「Black Market」


https://www.youtube.com/watch?v=RsT3DjEJL08


幕開けを告げる一曲目。原曲を遥かに凌駕するベースリフのドライブ感&グルーヴ感が度肝を抜きます。まさに独擅どくせんじょう。自由闊達かったつなバリエーションから胸おどるオブリガートまで聴き漏らし厳禁の名演です。



他にも、名盤『Heavy Weather』(1977)から選出の「Birdland」や「A Remark You Made」そしてJaco作のこちらの曲も大きな聴きどころです。



◇「Teen Town」


https://www.youtube.com/watch?v=mfrgRVtAglE


大幅なテンポアップに加え、即興演奏までが追加。やはり別物と言っても良い仕上がりに圧倒されます。鬼気迫るテンション、と感じるのは実のところリスナーだけで、本人的には至って自然体なのでしょうね。



言うまでもありませんが、これほどハイレベルなバランスを実現できたのは、Joe ZawinulやWayne Shorter(Sax.)、Peter Erskine(Dr.)らの超一流の演奏あってこそです。


それは踏まえた上で、Jacoにスポットを当てた曲を最後にもう一つ。シーケンサーを駆使したロック&ファンキーなベースソロです。



◇「Slang (Bass Solo)」


https://www.youtube.com/watch?v=AcqaUrUWzuE



今回は真野自身のフェイバリット・アルバムとしてこの『8:30』を選びましたが、いずれJaco Pastorius、WEATHER REPORT共に、改めて別の形で取り上げたいと考えています。

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