14. MARILLION『Misplaced Childhood』(1985)

プログレッシヴ・ロックといえば、1970年代こそ黄金期というのが大方の共通認識でしょう。とはいえ、それは後の時代にプログレの名作や名バンドが生まれなかったことを意味しません。


時は1980年代、プログレの本場・英国に現れた新時代の旗手がMARILLIONです。その音楽性はネオ・プログレッシブ・ロック、あるいはポンプ・ロックなどと呼ばれます。彼らの代表作となる3rdアルバムがこちらです。



◆MARILLION『Misplaced Childhood』(1985)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/3ExyKxlUkqD41I8tQumMDF?si=rG0tDCdZTR2wUinnNnsD2A


初期GENESISを思わせる、叙情的でドラマチックなコンセプトアルバム。裸足の少年がこちらを見据えるジャケットも印象的です。41分、全10曲の中から、序盤の3曲を一挙にご紹介します。



★「Pseudo Silk Kimono」

https://www.youtube.com/watch?v=wGAAo9s1ahg


★「Kayleigh」

https://www.youtube.com/watch?v=3BhKuEuaCyE


★「Lavender」

https://www.youtube.com/watch?v=ziRRW9n2RNA


シームレスに繋がった3曲はいずれも優れたメロディを持つバラードです。Peter Gabrielを彷彿ほうふつとさせるせきりょうを帯びたFish(Vo.)の歌声は、決して戻ることの叶わない幼き日々を呼び起こさせます。


特に「Kayleigh」は彼ら最大のヒット曲にして代表曲の一つです。別れた恋人への未練を綴ったラブソングは甘く切ない想いとともに、今では遠き80年代への郷愁をも感じさせます。


これらさえ聴いておけば間違いないとさえ思えますが、ここまで来たらアルバム全編を味わっておきたいところです。70年代の巨匠たちにも劣らない、マスターピースと称するに相応しい傑作です。



なお、中心的存在だったFishは次作『Clutching At Straws』(1987)を以て脱退。バンドは新たにSteve Hogarth(Vo.)を迎え、それまでの形式から脱却した、よりモダンな作風へと変化していきます。

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