40. UNLEASH THE ARCHERS『Phantoma』(2024)

今回はカナダ産メロディック・パワーメタルの雄、UNLEASH THE ARCHERSの新作を取り上げます。


現代的なメタルで女性ヴォーカリストというと、オペラティックなソプラノヴォイスか、デス声の両極端を思い浮かべがちです。


そんな中、バンドを率いるBrittney Hayes(Vo.)は、深みのある中高音域の歌声と豊かな表現力で勝負する正統派と言えます。加えて、決め所を誤らないハイトーンでのシャウトも備えた実力は折り紙付きです。



◆UNLEASH THE ARCHERS『Phantoma』(2024)


約4年ぶりとなる6th。売りのパワーメタルは勿論のこと、より練られた楽曲のバリエーションも豊富で、今までになかった新たな面を披露してくれています。当代メタル女王の一角Brittneyの猛々しくも艶のある美声も健在です。



◇「Ph4/NT0mA」


https://www.youtube.com/watch?v=vO-nWS6BxDw


表題曲は直球のパワーメタル・ソング。言う事無しの良曲です。今までのUNLEASH THE ARCHERSであれば、この曲がリードトラックになっていたかもしれません。



☆「Green & Glass」


https://www.youtube.com/watch?v=eLPMBD7i0IU


流麗なメロディが耳に馴染むリードトラックです。これまで培ってきたソングライティング力が結実したかのような秀作でもあります。爽快さの中に滲ませた切なさが詩の内容とマッチして味わいが深いです。



☆「Seeking Vengeance」


https://www.youtube.com/watch?v=73UDuifWPvg


レガートの滑らかなリフといい、間奏のソロ回しといい、ギタープレイが印象的な一曲。アグレッシヴなサウンドをバックに咆哮がこだましますが、攻撃一辺倒ではない緩急をつけた曲運びはお見事です。



☆「Blood Empress」


https://www.youtube.com/watch?v=Xx5Le0L7rOs


時に重く、時に激しいビートはアルバム最後を飾るに相応しい貫禄。Brittneyの歌いぶりも一際ひときわ心をえぐる深みと猛烈さを増しています。彼女こそまさに「Blood Empress」とでも言わんばかりです。



他にも、明快な疾走曲「The Collective」、ハードロック風パワーバラード「Give It UP Or Give It All」のような新機軸が耳を引きます。

限定版ボーナストラックでは、何と往年のヒット曲BALTIMORA「Tarzan Boy」までカヴァーされています。


傑作と名高い前作・前々作を上回る充実の出来栄えは、彼らUNLEASH THE ARCHERSのメタル界における地位が盤石のものとなったことを確信させます。

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