【音楽エッセイ2nd】コンナ音楽堂

3. THE SMASHING PUMPKINS『Mellon Collie And The Infinite Sadness』(1995)

前回に引き続きTHE SMASHING PUMPKINSのアルバムからご紹介します。

◆THE SMASHING PUMPKINS『Mellon Collie And The Infinite Sadness』(1995)

https://open.spotify.com/intl-ja/album/55RhFRyQFihIyGf61MgcfV?si=crpYV0fmRjKvL4zG0nGvgw

『Siamese Dream』に続く3rdアルバムは、中心人物Billy Corgan(Vo./Gt.)の創造力/想像力が爆発した2枚組、全28曲、2時間超という驚きの大作でした。

ピアノとメロトロンの音色が織り成す表題曲で幕を開ける物語は、メンバー4人がヴォーカルを歌い継ぐ終曲「Farewell And Goodnight」のアウトロから、再び冒頭のピアノフレーズへと回帰します。

美しい円環を描く収録曲の中でも、序盤を飾る名曲「Tonight, Tonight」に言及しないわけにはいきません。

★The Smashing Pumpkins - Tonight, Tonight (Official Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=NOG3eus4ZSo

示唆に富んだ文学的な歌詞が、リスナーをノスタルジックな詩想の彼方へと導きます。曲終盤、「不可能が可能になる」瞬間はまさにクライマックスです。押し寄せる感情の波にただただ圧倒されます。

音楽面に目を配ると、バンドサウンドに重なるストリングスのアレンジは目の覚めるような美しさです。余談ながら、開放弦を使ったアルペジオリフは自作曲の着想元にもなりました。

★The Smashing Pumpkins - Bullet With Butterfly Wings

https://www.youtube.com/watch?v=8-r-V0uK4u0

轟音と静謐（せいひつ）。抑圧された感情の爆発。初期から続く彼らの音楽性・精神性を端的に表しつつも、その表現は飛躍的に洗練度が増しています。

★The Smashing Pumpkins - 1979 (Official Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=4aeETEoNfOg

ループするリズムトラックの不思議な疾走感。青春の熱狂を演出する中間部の盛り上がりにも力みや態（わざ）とらしさはなく、自然にノスタルジーを掻（か）き立ててくれます。

以上の他にもヘヴィで退廃的な「Zero」、優しくメロウな「Thirty-Three」なども、独特な世界観のMVと合わせておすすめです。

★The Smashing Pumpkins - Zero (Official Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=3wk7C64kaP4

★The Smashing Pumpkins - Thirty-Three (Official Music Video)

https://www.youtube.com/watch?v=AYSbztCCTlA

同アルバムで培われたメロディセンスは、後年のBilly Corganの別プロジェクト・ZWANへと受け継がれたように感じます。唯一盤『Mary Star Of The Sea』(2003)は秀作ながら、デジタルやサブスクで未配信なのが惜しまれます。

なお、前回・今回とメンバーの中で触れていないJames Iha(Gt./Vo.)については、いずれ別の機会に取り上げたいと考えています。