70. 藤本美貴『MIKI①』(2003)

洋楽偏重で育った筆者ですが、たまに邦楽を集中的に聴き漁る時期が巡って来ます。西暦にして2000年前後の数年間も、ちょうどそんな期間でした。


折しも、モーニング娘。擁するハロー!プロジェクトの黄金期で、TV番組などを通じて多くの楽曲が耳に入ってきます。


注目のアレンジャー陣はダンス☆マン、鈴木Daichi秀行、渡部チェルら錚々そうそうたる顔ぶれ。当時作曲にハマっていた筆者は、名手たちの操る編曲の妙技に魅せられ、ハロプロ楽曲を意識的に聴くようになります。


中でも筆者の耳を惹き付けたのが、藤本美貴です。典型的なアイドルのイメージに埋没しない個性は異彩を放っていましたし、歌手としてのポテンシャルも随一だったように思います。



◆藤本美貴『MIKI①』(2003)


ソロ名義としては現在唯一のアルバム。5曲のシングル曲を筆頭にバラエティに富んだアレンジは、通し聴きにえ得るクオリティです。歌詞の細やかなニュアンスをつぶさに再現する表現力の高さも目を見張るべきものがあります。



☆「ブギートレイン'03」


https://www.youtube.com/watch?v=BeXYdffrqyg


編曲は鈴木Daichi秀行。ブギーと銘打つだけあり、シャッフルするリズムの主張が強烈。特にベースラインがとてもクールで耳を惹き付けます。ホーンセクションやクラビネットも彩りを添えるゴキゲンなオープニングナンバーです。



☆「ロマンティック 浮かれモード」


https://www.youtube.com/watch?v=-dcOYIDgCOY


代表曲といえばこちらになるでしょうか。やはりタイトなリズムとともに、ホーンの華々しい音色が曲を引き締めます。サビでの移調も効果的。躍動感あるベースのスラッピングもファンキーなアッパーチューンです。



◇「涙GIRL」


アルバムオンリーのパンキッシュな疾走メタル曲。長らくTHE ALFEEでドラマーを務めていた長谷川浩二と、近年はLIV MOONなどでも活躍する超絶ベーシストのMASAKIが参加。終盤での暴れっぷりは期待を裏切りません。



これらソロ曲は勿論のこと、グループ内においても、彼女の歌声があるだけでサウンドに一本筋が通るのが感じられます。プロデューサーからすると、容易には手放したくないのも分かる気がします。

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