71. RUSH『Moving Pictures』(1981)

「欧米では人気も評価も高いのに……」とはGENTLE GIANTの回でも申しましたが、ここでもう1組「日本だとそこまで……」な大物バンドを取り上げようと思います。


プログレメタルの代表格DREAM THEATERにも大きな影響を与えた、カナダの3ピースバンドRUSHです。


Geddy Lee(Vo./Ba./Key.)の八面六臂はちめんろっぴの活躍ぶりは言うに及ばず。手数もアイデアも豊富なNeil Peart(Dr.)のプレイはそのものが伝説ですし、Alex Lifeson(Gt.)の個性的な音像もRUSHらしさには必要不可欠です。


そんな三者が織り成す、立体的かつ重厚なサウンドは実に驚異的。今なお多くのミュージシャンたちを魅了する、彼らの凄みを手っ取り早く味わうのに最適なアルバムがこちらです。



◆RUSH『Moving Pictures』(1981)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/2xg7iIKoSqaDNpDbJnyCjY?si=Vogt6UeGTtOrS6aphzz9LQ


70年代プログレを引きずる大作路線から半歩後退、親しみやすくコンパクトな楽曲を中心に組み立てられた8th。とはいえ、磨き上げられた技巧と構築力にはいささかも手抜かりなく、耳の肥えた音楽ファンをうならせる趣向に満ちあふれています。



☆「Tom Sawyer」


https://www.youtube.com/watch?v=sJt9zXtOBAY


シンセを大胆に導入した冒頭曲。たった三人とは信じ難い濃密な音作りがリスナーを迎え入れます。初心者にとってのハードルはGeddyの独特な歌声でしょうが、癖の強さも一度慣れてしまえば病みつきです。


映像はライヴ盤『Exit... Stage Left』より。演奏面でもスタジオバージョンとそんしょくがないどころか、むしろ超えてすらいます。



☆「Red Barchetta」


https://www.youtube.com/watch?v=_LXKZq0fYDw


開幕と終幕を彩るギターのハーモニクスが印象的な2曲目。全編に渡って吹き抜けるような爽快感と疾走感は、ドライブのお供に最適かも。ドラムを中心としたリズム面での遊びも、前曲同様こなれています。



☆「YYZ」


https://www.youtube.com/watch?v=ftVTWDrtrlc


楽器オタクの誰もが憧れる超絶技巧インスト曲。聴いている分にはノリノリ&クールで格好いいのですが、実際に演奏するとなると、正確に音を拾うのは勿論のこと、理想的なグルーヴ感を再現するのは至難の業です。とにかく必聴。



☆「Limelight」


https://www.youtube.com/watch?v=Yg8BIMh_KgQ


優しく自然なメロディラインに心奪われる名曲。歌モノとして見た場合、アルバムはおろかキャリアを見渡してもピカイチの出来ではないでしょうか。恍惚感のあるギターソロも大変に素晴らしいです。



A面4曲だけでこの充実ぶり。ドラマティックに彩られた後半3曲も聴き逃がしは厳禁です。まさに掛け値なしの名盤であり、RUSHの代表作と言って差し支えないでしょう。


初めてRUSHに触れる方は、この『Moving Pictures』か前作『Permanent Waves』が、最も取っ付きやすくおすすめです。


◆『Permanent Waves』(1980)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/4JCKGIP6tpBcSXd9eYE9pF?si=_Ixi7TqvSg2ncCyNUGC1VA



ライヴ盤ならば『Exit... Stage Left』一択。上記2作からの曲を中心に、当時のベスト選曲が目の覚めるような臨場感で展開されています。スタジオ盤にも引けを取らない演奏クオリティに度肝を抜かれること必至です。


◆『Exit... Stage Left』(1981)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/4IWZpcfjVatZdsAqdW4t5D?si=M2EJNixWSc6Z-fRte9C3wA

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