30. MOON SAFARI『Lover's End』(2010)

『コンナ音楽堂』筆者の真野魚尾(まの・うおお)です。

30回目となる今回は、筆者のオールタイム・フェイバリットMOON SAFARIのアルバムをご紹介しようと思います。


MOON SAFARIはスウェーデン出身のシンフォニック・ロック・バンドで、2015年には日本のTV番組 (『Y◯uは何しに日本へ?』)に出演したことでも知られています。


同番組でも披露された美声クワイア(コーラス)は、彼らの明快なセールスポイントです。重ねて、70~80年代音楽への深い造詣に裏打ちされた作編曲能力や、極めて高度な演奏技術も無視することはできません。


21世紀まで進化を続けたプログレッシヴ・ロックが極限まで枝葉を伸ばし、辿たどり着いた最高到達点の一つこそMOON SAFARIであり、このアルバムなのかもしれない、とさえ筆者は感じます。



◆MOON SAFARI『Lover's End』(2010)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/2kY06ElloLAUR0n7vWniNe?si=a3SAOc9fQyWuG_sn4uRbXQ


出世作となった3rdアルバムは、THE BEATLESやQUEENなどに通ずるキャッチーさが増量。鍵盤奏者2人を擁する贅沢なアンサンブルに加え、リードヴォーカル級の歌声を持つメンバー総参加のコーラスワークも圧巻です。



◇「Lover's End pt.1」


https://www.youtube.com/watch?v=atqVpQO_ByA


ピアノとハーモニカの響きがノスタルジーを誘う導入曲。甘く優しい上質なメロディは、来たるべきドラマの幕開けを予見させます。その通り、まだこの時点で彼らは持ち味を存分には振るっていません。本領発揮は次曲からです。



◇「A Kid Called Panic」


https://www.youtube.com/watch?v=7K4O6v7fDjM


重なり合う歌声の色模様、一寸のほころびもなく織り上げられた完璧な構成と展開、そして目を見張るべき演奏技術。極上の旋律に彩られた切なくも美しい夢の中に、いつまでも身をゆだねていたくなるような珠玉の14分間。文句なしの名曲です。



◇「Heartland」


https://www.youtube.com/watch?v=EuB48k2CVMY


後半の山となる6曲目は、メロトロンの音色と変拍子が特徴的なプログレポップ。要所要所で主旋律にハーモナイズするベースラインが心憎し。明るく軽快な曲調の中にも、そこはかとなく漂う郷愁きょうしゅうが胸を締め付けます。



その他にもメロウでドリーミーなサウンドが目白押しの全8曲からは、片時も耳を離せません。



ともかく「プログレとか全然わからないよ」という方にも、ぜひ一度は聴いてほしいバンドです。それさえ叶えば、筆者・真野がこのエッセイを書いた目的はほぼ達成されたも同然と言っても過言ではありません!



【おまけ】


★Moon Safari - Emma, Come On (Official Music Video)


https://www.youtube.com/watch?v=CPQnsCQGXdI


10年の休止期間を経ての復活作『Himlabacken Vol.2』(2023)からの1曲。ポップでキャッチーな3分台にバンドの魅力が目一杯詰め込まれています。日本で撮影されたメンバー勢揃い(当時※)のMVは必見です。


※Sebastian Åkesson(Key./Vo.)は、TikTokから人気を博したDAD HARMONYの活動に専念するため、先日脱退してしまったとのこと。

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