【音楽エッセイ2nd】コンナ音楽堂

26. FOR ALL WE KNOW『By Design Or By Disaster』(2024)

オランダのシンフォニック・メタル・バンドWITHIN TEMPTATIONのRuud Jolie(Gt.)主導、AYREONやスウェーデンのPAIN OF SALVATIONのメンバーらが合流したプロジェクト、FOR ALL WE KNOWのご紹介です。

◆FOR ALL WE KNOW『By Design Or By Disaster』(2024)

7年ぶりリリースの3rdフル。凄腕揃いのメンバー同士ケミストリーも完璧。大雑把に見ればプログレメタルという括（くく）りになるでしょうが、攻撃性は抑えめ。ネオ・プログレに通じるドラマ性も大きな魅力です。

◇「Forced To Be Free」

https://www.youtube.com/watch?v=fdOlSoym9Ig

冒頭を飾るのは明るく爽快なプログレハード・ナンバー。歌だけでなく楽器パートにも見せ場が詰まった贅沢な5分間。アルバム中最もメタル色が薄めで、かつメロディックで親しみやすい導入曲に仕上がっています。

★「The Future That Came To Soon」

https://www.youtube.com/watch?v=tiIYh4xoz0Y

穏やかに軽やかに、変拍子を渡り歩くヴォーカルラインは緩急自在。扇情的なギターやピアノの音色も胸に迫ります。所々で主張する歌や楽器のユニゾンフレーズも、プログレ好きの欲求を満たしてくれる良曲です。

◇「Remind Me To Forget You」

https://www.youtube.com/watch?v=uc0nCujTWdY

躍動感あるイントロもそこそこに、穏やかな歌パート→ギター→ピアノと次々に移り変わる展開にぐっと引き込まれます。変拍子での味付けも抜かりなく。これぞプログレッシヴ。

初期からの方向性は一貫しつつも、耳を引くフレージングや展開の妙は聴き流す暇（いとま）も与えないほどに、段違いの進歩を見せています。最新作にして最高傑作と言っても良い出来栄えです。