第75話:明けましてオオタカさん
お正月!
お年玉っ!
以上っ!
いやいや。
おほん。
元日は朝からお雑煮を食べた後に初詣を済ませ、お父さんの実家へ。
お父さんの実家では早々にお爺ちゃんお祖母ちゃん叔父さん叔母さんたちからお年玉をせし……頂戴して。
夕食のおせち料理やらを堪能して一泊。
翌朝、移動して今度はお母さんの実家へ。
こちらでもお年玉をたらふ……たくさん頂き。
もうひとつの本命、パンダ鴨さん……ミコアイサさんの居る小さなお池へ。
お爺ちゃんの証言通り、今年もいらっしゃいました!
そうだそうだ!
去年、撮った時、ミコアイサさんと別のカモさんが並んで飛んでたと思ったんだけど、実は別のカモさんではなくて、ミコアイサさんの奥さん? だった事が後でわかった。オスとメスで模様が全然違う種類も結構あるけど、ミコアイサさんもその
撮った写真の背中……翼を見てみると、色が反転してる感じ、かなぁ。
それはともかく。
今年も……ご夫婦? でようこそ、いらっしゃいませ。
よくわからないんだけど、時々、水面から飛び上がって、お池の上空をくるっと回ってまた水面に戻ってくる。
おかげで、飛んでるところとか、水面に降りる瞬間とか撮れるんで嬉しかったりはするけど。
今回も、ご夫妻(親子かもしれないけど?)の着水シーンが撮れましたっ。
ある程度パンダ鴨さんを堪能してから、お池の周囲をぐるっと歩いてみる。
どうしてもお池に浮かぶカモさんたちの動きが気になるので、お池の方を見ながら、歩いていると……。
ばさっ!
「え?」
池に浮かんだ島と言うか、半島。
その根元部分、目の前にあった小さな林の樹の間。
大きな鳥さんのはばたきの音とともに、動く影が視界の隅に入る。
手持ちで来てたので、瞬間的に反応してその鳥さんを撮ってみたけど。
「オオタカさんっ!?」
思わず叫んでしまったら、わたしの声に驚いたのか、オオタカさんもすぐに飛んで行ってしまったけど。
「…………えらい近かった……」
めちゃくちゃ近い場所。
「そうだ、写真」
一応、何枚かシャッターは切ってみたけど……。
「うほっ」
オオタカさん……幼鳥さんが、画面の四分の一ぐらいの大きさに写ってる。……
ピントは合ってないけど、ギリギリ、幼鳥さんだってわかる
普段、撮れる大きさと言えば、だいたい『ぽつん』。
こんな大きく写せる……こんな近い場所で撮れる事は、まず無いんだけど。
「うわぁ、うわぁ……」
肉眼でも見たけど。
でけーっ。
大きさ的には、カラスさんとだいたい同じなんだけど、迫力が違うわぁ。
ただ、一瞬の事で、何が何やら状態で。
びっくりしたー。
「で、オオタカさん、何処行った?」
きょろきょろ。
辺りを見渡してみるけど、気配は……んん?
今いるのは島の東端。その反対側の西の端の方でちらりと動く影が。
樹の葉がほぼすべて落ちているので、枝と枝の間から少しだけ、気配が解かる。
「なんか居る……」
今のオオタカ幼鳥さんか? それとも別の鳥さんか? 結構、大きな鳥さんなのは間違いなさそう。
ここから西側に行くにはお池のほとりの小道を移動する必要がある。
小道の左右には低い木が並んでいて、一部は道に張り出している。
去年はこの枝にスカートがひっかかって大変だったけど、今年は見越してジーンズで来てるから、平気……。
「
平気じゃなかった……急ぎ足で硬い枝が突き刺すようにひっかかると、ジーンズでも痛い……ゆっくり行くか。
ゆっくりと急ぎつつ、西側へ。
南側を経由して池の中にある島と言うか、半島? みたいな場所を確認しつつ。
でも、足元にも注意しないと。舗装された道路じゃない、ただのあぜ道。
お正月早々、ぐねったり転んだりはイヤだしね。
林……半島の西側へそぉっと回り込むと……。
「居たっ!」
いらっしゃいました。オオタカさん。しかも成鳥さん? じゃあ、さっきの子はどっか行っちゃったのかな……。
とか、思いつつ、成鳥さんにレンズを向けてシャッターを切る。
さっきの東側と違ってこっちの方は林までの距離が少しある。あまり大きくは撮れないけど……とか思っていたら。
『カ・カ・カ・カ・カ……』
「うぉ?」
オオタカさんの鳴き声?
左の方から聞こえて来る……しまった。補聴器着けてくるの忘れたっ!
『カ・カ・カ・カ・カ……』
また左からっ……ってことは、正面?
『カ・カ・カ・カ・カ……』
『カ・カ・カ・カ・カ……』
ひぇ? ふたつ?
そして視界に動くモノが。
成長さんのわずか左下に動く影。
それを写真に撮って拡大して確認してみると。
「幼鳥さん!?」
ぉおお。成鳥さんの足元、幼鳥さんがぁ。親子、かなぁ?
今、鳴いてたのは、子供が親を呼んでたのかな? その逆で、親が子供を呼んでたのかな?
どっちかわからないけど。
いつもの
いやぁ、お正月早々、オオタカさんにお会いできるとわ。
「オオタカさん、明けましておめでとうございます~」
しばらく、そんなオオタカさんの親子? を見守り。
やがて。先に成長さんが飛び立ち、少し置いて幼鳥さんも飛び立ち。
「ふぅ……」
お正月早々、大興奮。
オオタカさんの鳴き声とかも滅多に聴けないから、なおさらに。
それから少し待ってみたけど、さっきの子たちは戻っては来ず、別のタカさんもいらっしゃらず。
寒くなってきた事もあって、撤収。お爺ちゃん
「あぁ、たまに飛んでるなぁ、タカ。種類まではよくわからんけど」
とは、お祖父さん。実はそこはかとなく鳥さんには詳しいみたい。特にバードウォッチングが趣味とかではなく、一般教養的に知っていて、実際に近くで見られる鳥さんについては普通の人……
「トンビはわかるぞ? 尾っぽが三味線のバチみたいなやつだろ?」
その通りです、お爺ちゃん。あと、トンビじゃなくて、トビなんだけど、一般的にはトンビでも通じるし、トンビでもいいみたいね。
「って、事がありまして」
「おぉ、今年もパンダ来てるかぁ……オオタカも見れるとか、いいなぁ」
一月三日。
早々に、
「
「なるほど、そうかもしれませんね」
同じ方向から同じ姿勢で撮った写真があればそれを比較して同じ個体かどうか確認もできるだろうけど、そんな都合の良い写真が撮れる訳も無く。
でも、一羽だけ、確認ができる個体が居る。
「あの子、今日も来てますね……」
「あぁ、たくましい、な」
「せやな……」
オオタカ
大きさと色からして、メスだろう、とはカワサキさん。
近くに居るカラスさんと比べてもたしかに、かなり大きな感じがする。
ちなみに、タカさんの
背中やお腹の模様もオスとメスで少し違っていて、『オオタカ』が『アオタカ』から変化したとの名前の通り、オスの成鳥の背中は、青い。
ぱっと見だと、黒っぽくしか見えないけど、太陽光をその背に反射した写真を見ると、確かに『青い』事がわかる。
メスはどちらかと言うと、茶色っぽい黒。
とか、とか。カワサキさんから聞いた、図鑑で読んだ、Webで調べたコト、そして、自分で見て、撮って、感じたコト。
百聞は一見に如かず。
自分で撮った一枚の写真は、何百枚のWebの画像よりも。
今、目の前に居る、オオタカさんも。
「
「んー……カラスとバトルか、網か何かに絡まったか……」
そう、片足が、無い。と言うか、折れてぶら下がっている。
十二月の半ばくらいに気付いたんだけど、以前から来てた子か、新たに来はじめた子かはわからないけど。
この『足の折れた子』として個体識別が
去年あったフクロウさんの交通事故もそうだけど。
人の営みのとばっちりで傷つく野生動物たちがいる。
野鳥もその野生動物の一部。
この辺りではあまり見ないし聞かれないけど、海辺なんかだと、釣り人の捨てた釣り糸に足がからまった鳥さんが足を失ってしまうとか、あるらしい。
鳥同士の争いとか人間が介在しないところで、傷付く場合もあるだろうけど。
その後。
その子は春までずっとこの近辺で見かける事ができた。
その前に、わたしが……わたしたちの方が
はぁ……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
近況へのリンク
パンダご夫妻と、オオタカさん親子?
https://kakuyomu.jp/users/nrrn/news/16818023211870632569
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます