第74話:一年経ちまして極寒の大晦日に公園で
早いもので、ちょうど一年……と、数日、か……。
年の瀬も年の瀬、大晦日の早朝。
去年の今日は……何してたっけな?
ぁあ、そうだそうだ。
オオタカさんとカワサキさんに出会って。
お父さんにカメラを借りて。
カワサキさんから色々と教えてもらって。
カメラに照準器つけたりとか、三脚にゴム巻いたりとかしてたっけなぁ……。
あれから……色々、あったなぁ……。
蘭先輩と出会って仲良くなって。
夏には西方遠征で涼子さんと会って。
遠征から帰って写真展示会で
シンさんはじめ、カワサキさん以外の鳥撮りさんとも仲良くなって。
いろんな鳥さんとも出会って、写真にも撮って。
とか、とか。
思い出したりしつつ、今日は。
めちゃくちゃ寒かったけど、
天気も悪いし、ホントはマズいかもなんだけど、ひとりで来てみた。
さすがに悪天候の大晦日。
誰も居ない。
この寒さだと、わたしもそんなに長居はできないし、と、三脚は出さずに、カメラを手に、少し池のまわりをブルブル震えながら歩いてみたら……。
葦原にオオタカさんが鎮座されていました。
ん?
なんか、持ってらっしゃる?
撮った写真のプレビューを拡大して確認してみると。
……うげっ……。
狩りに成功して、捕まえた獲物をお持ち帰りして来たっぽい。
しかも、オオタカさんの周辺に白っぽい鳥さんの羽らしきモノが散らばっている。
ひぃいい。
葦原の隅っこの葦が倒れて少し平たくなった場所できょろきょろ、と辺りを見渡したかと思うと、その獲物を守るように抱え込んで……。
じーっとしている。
「動かなくなった?」
わずかながら、粉雪がちらりほらりと舞う、寒空の下。
獲物を食べ始めるでもなく。
どこかへ持ち去るでもなく。
じーっと。
いずれにせよ、何か動きがあったら、撮りたい、と思うけど、あまりの寒さに震えあがる。
いや、まぁ、お食事シーンは撮りたいような、撮りたくないような……。
以前に一度、オオタカ幼鳥さんのお食事シーンを撮った事があったけど。
あの写真、見返すのがつらかったりするよね……。ぅぅ。
それにしても。
「寒ぅうううぃっ」
結構着込んで来たけど、寒いものは寒い。
なにより、手先、足先が……。
「うぅっ……冷たぁぃ……」
オオタカさんっ、アクション、プリーズ!
ついつい、そんな
でも、そんな思いが通じる訳も無く。
オオタカさんは、寒空の下、極寒の池の上。
じーっ。
いや、完全に止まっている状態ではなく。
時折、首をきょろきょろと、周囲を警戒している風では、あるんだけど。
もしかしたら、わりと近い場所に居るわたしの事は特に警戒しているのかな?
むぅ……ぅうっ、
根比べ……とまでも行かず、早々に寒さ冷たさに敗北。
まだじーっとしているオオタカさんに後ろ髪を引かれつつも。
わたしを警戒してお食事ができないなら、わたしが去るべきだろう、とも考えて。
雪のちらつく空の下。
泣く泣く撤収。
うぅっ。
まぁ、もとより長居はできなかったから仕方ないんだけど。
帰ったらシャワーで温まって……大掃除のお手伝いかぁ。
そんな大晦日が、今年が、もう、終わる。
明日の元旦は……
わたしの家は朝から初詣の後は両親の実家へ。
蘭先輩は家族で親戚周りってことで年末ごろからすでに旅立たれた模様。そういえば去年、初めて蘭先輩に出会ったのはお正月明けごろだっけか。
ね。
カワサキさんは……今日はめちゃくちゃ寒かったから来てなかったけど、明日の元旦は大丈夫そうってことで、朝から
まぁ、それを言い出すと、今朝、極寒の中を出動してたわたしはどうなんだ、って気もしなくは、無いケド、ね?
それに。
「はぁ……受験かぁ……」
そう、春にはもう、三年生、受験生。
一応、大学進学?
かなぁ……。
どうしよう?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なんか最終回っぽいしんみり度ですが、まだ少し、続きます(焦)
近況ノートへのリンク
獲物を抱きかかえたオオタカさん
https://kakuyomu.jp/users/nrrn/news/16817330669597401516
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