第53話:蚊取り線香ケースと、コサメちゃん!?
九月二学期、早々の土曜日。
カワサキさん、蘭先輩、それに、新顔の鈴木
なんか、居ないかなぁ?
自転車でぞろぞろ、ゆるっと走りながら、辺りをきょろきょろ。
んまー、あんまりきょろきょろしていると、前方不注意で危険、ではあるので、適度に。
何か居そうな場所で自転車を停めて、森の中に入ったりしてみるも。
「んー……
「うん、まあ、こんなもんだねぇ、夏は……」
とのコト、らしい。
「蚊はいっぱいいますが……ううっ」
「あはは」
蘭先輩の
「あ」
しまった、蚊取り線香がっ。
一回で使い切る事も無いので、火を消して次また続きを使うんだけど、前回の残りが小さくなっていたので、途中で完全に切れちゃったみたい。
「カワサキさん、すみません、またライター貸してもらえます?」
ごそごそ。
背中のデイバックを降ろして、中から予備の蚊取り線香を取り出す。
しゅちゃっ。ぱかっ。
「え? 何ですの、そのケース!?」
隣で何気なくこちらを見ていた蘭先輩が驚く。
「ん? ほンまや、
蘭先輩の声に、方菜ちゃんも。
「あー、これ? じゃーん。蚊取り線香専用持ち運び用ケース~。じゃじゃーん」
プラスチック製で、蓋側は透明。蚊取り線香を入れるケース側は色付き。
「って、それ、CDケースじゃない?」
「あはっ、カワサキさん、せいかーい」
そう。CDとかDVD、BDを入れるケース。
いや、もう、最近はもうあまりお目にかからないらしいんだけど。
お父さんに蚊取り線香を持ち運ぶいい入れ物は無いかと相談したら、コレをくれたんだよね。
そのままだと入らないので、中央部分の、CDの穴を固定する爪? を折ってある。
これが、もう、本当に、あつらえたように、ピッタリ!
驚きのフィット感。
あ。
薄いタイプのケースだと高さが足りないので、厚い方の、ね。
蚊取り線香って、二個をくっつけて保存されてるから、一個外して使うと、もう一個が余っちゃう。それを保管して持ち運ぶのに、このケースが大活躍。
ケース自体が固いので、蚊取り線香が折れたり割れたりしちゃうことも無く。
お父さんもお母さんも、サバイバルゲームで森? に行く事が多かったらしく、撃ちあってる最中は使えないけど、夏に
それでこういう小ネタを知ってた、と。
んー。お父さん、ナイス!
「
「しまった。この間、焼き損じのCD-ROM、ケースごと全部捨てた……」
「あ、それれでしたら、
「みんなはどうやって持ち運んでるの?」
素朴な疑問。
「十巻入りの箱ごと、ですわ」
「ん、せやな、箱ごとやな」
「同じく……」
なるほど。
「とりあえず、カワサキさん、ライターを……」
「あ、ごめん。はい、これ」
「ありがとうございます~」
じゅぼーっ。
さて。
蚊取り線香も復活。
森の中を探して居ると……
「お? アレ、
方菜ちゃんが双眼鏡を向けながら指さす方向。
小さな、鳥さんがちらり。
「何だろね?」
ささっと、カワサキさんと蘭先輩が肩に担いでいた三脚を地面に降ろして、カメラを向ける。
「コサメだね」
カワサキさんは早々にファインダーで鳥さんを確認。
わたしも三脚を降ろして、カメラを向ける。
照準器でおおよその場所を
色は、白・茶で、あまりキレイとは言えないが。
「かっ、かっ、かわいいっ!!」
おめ目が、ぱちっと、くりっと、小柄な体躯と相まって、とっても可愛い!
「コサメちゃんって言うんですか、この子」
ぱしゃぱしゃ。
ファインダーを覗き、コサメちゃんを撮りながら聞いてみる。
「あー……コサメは愛称。コサメビタキや」
すかさず方菜ちゃん。
「エゾビタキ、サメビタキ、コサメビタキ。この時期見られる渡り鳥の一種、ですわね」
と、蘭先輩が続ける。
「そそ。エゾ・サメ・コサメ。姿形、色、模様が似てるから、見分けが難しいんだ」
追加でカワサキさん。
なるほど。
エゾビタキさん、サメビタキさん、コサメビタキちゃん。
ん。
『ちゃん』って言いたくなる、可愛らしさ!
良いです、良いです。
あー、羽繕いする姿も、カワイイっ!
はぁはぁ。
してたら、コサメちゃん、退場。ううっ。
ごめんなさい。しばらく、あまり鳥さん撮れてなかったので、ちょーっと興奮しちゃいましたか。
あぶないあぶない。
さて、他には何が!?
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近況へのリンク
自作蚊取り線香ケース&コサメちゃん
https://kakuyomu.jp/users/nrrn/news/16817330662144290433
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