第52話:鳥撮り鳥見の機材いろいろ
「やぁ、おはよう。君がカタナちゃんだね。ウチ、カワサキ。よろしくね」
日の出前、早朝の
早速、カワサキさんと方菜ちゃんの初顔合わせ。
「お初によろしゅぅたのんます。えと……
「あー……了解」
カワサキさん自身も本名にコンプレックスがある。いや、この四人、全員か……
カワサキさんの本名。本多卓人。
ホンダ・タクト。スクーターバイク。
蘭先輩。鈴木蘭。
スズキ・蘭。こちらもスクーターバイク。製造販売終了。
スズキ・刀。おっきなバイク、らしい。
そしてわたし。河崎永依夢。エイムは、銃で撃ちあうゲームの用語、らしい。
はっ!
「わたしだけバイクじゃない!?」
「バイクじゃなくて良かったじゃないですの」
「ほンまや。名前でイジられる身にもなってみぃ」
「ってゆーか、方菜ちゃん、やっぱり、両親はバイク乗り?」
「二人ともカタナ乗っとりますわ。ツーリング先で
機材をセットアップしながら、そんな与太話をしていると。
「なぁなぁ、素朴な疑問なンやけど」
脇で暇そうな
方菜ちゃんは、カメラは持っていないし、三脚も無く、準備は双眼鏡を取り出して首にかけるだけでお手軽。
「ん? 何?」
わたしも割りばし&クリップ照準器の微調整をしながら何気なく対応する。
「あンたら、双眼鏡とかスコープとか使かえへンのン?」
「カメラのファインダーで事足りますからね」
蘭先輩がカメラ&三脚を組み立てながら答える。
「それに機材が多くて、邪魔になるんですわ」
「照準器もあって、導入も楽ちんだしねー」
導入、って言うのは、カメラや双眼鏡の視界に見たい対象物を捉えること。つまり
「カメラにもよりますが、デジタルズームでさらに倍率を上げられるので、双眼鏡より便利なのもありますわね」
蘭先輩はそう言いながらカメラの液晶画面を見せる。
液晶画面には、カラスがドアップで映っているけど、そのカラスは遥か遠く、オオタカ
「むぅ……文明の利器っちゅーやつかぁ……カメラマンの知り合いとか
ぶつぶつ。
腕組みしてぶつぶつと何やら、方菜ちゃん。
「ウチは冬場のオオタカ狙いとか、定点の時はフィールドスコープも使うけどね。移動が無ければ横に置いておくだけだし」
とは、カワサキさん。
そういえば、初めてオオタカを見せてもらった時はカメラじゃなくて、望遠鏡だったっけか。
「ほぅほぅ。カワサキはんはスコープ派でっか」
「今日は持って来てないけどね。ピクセンのいちばん小さいやつ。方菜ちゃんの双眼鏡もピクセンだね」
「あー、特にこだわってる訳やあらしまへン。たまたまですわ」
一応、家にも双眼鏡がある。お父さんが昔、サバイバルゲームで使っていたやつ。どうやらお母さんはもっと良い双眼鏡を持っていたらしいんだけど、弟さんにあげちゃったんだとか。
蘭の言う通り、カメラでコト足りてるし、邪魔になるのでわたしも使っていない。
さて。
カメラ機材のセットアップが出来たので、次は……
「カワサキさーん、わたしにも、ライター貸して下さい~」
「あいよ、ホレ」
「ありがとうございます!」
カチっ、じゅぼーっ。
蚊取り線香。
夏の
園路を走っている時はいいんだけど、林の中に居ると、蚊が大量に寄ってくる。
そもそも、日焼け対策で長袖長ズボンなんだけど、顔とか首の肌が露出した部分には、日焼け止めと、あと、虫よけスプレーも欠かせない。
それでも蚊が寄ってくるとブンブンうっとうしいので、蚊取り線香を携帯用のまあるい金属のケースに入れて、腰に装着。
万が一、刺された時のために、かゆみ止めも必要。
こういった補助的な機材もあるので、双眼鏡を持つのも大変、ってのもあるね。
そんな感じで、一通り準備も出来たのを見計らってカワサキさんが三脚を肩に自転車へ。
「さて、では、涼しい間にくるっと一回りしてみよっか」
「はぁい」
ちなみに。
カワサキさんは電動アシスト自転車。
蘭先輩は、いわゆる、ママチャリ。
二人は、前かごとは別に後ろの荷台にもカゴを付けている。大きくて重い三脚を前かごに乗せるとバランスが悪くて危険なので、後ろにカゴを付けているんだとか。
わたしもママチャリだけど、わたしの三脚は小さくて軽いので、前かごのみ。夏休みの西方遠征の時は、この後ろの荷台にクーラーボックスを積んでたりした。
方菜ちゃんのは、マウンテンバイクってやつかな。お父さんが乗ってるのと同じ雰囲気のやつ。前も後ろもカゴ無し。
さて。
なんか居るかな?
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近況へのリンク
デジタルズームサンプルと、カワサキさんの電チャリ
https://kakuyomu.jp/users/nrrn/news/16817330661859878875
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