第四章:二学期/秋

第51話:二学期初日のニュース速報



 臨時ニュースを申し上げます。


 臨時ニュースを申し上げます。


 我がクラスに、衝撃の事件が二つ!?




 一つ目。




「え? 誰? あれ!? 転校生?」


 二学期初日。ホームルームの前。


 我がクラスに、突然、金髪に蒼い眼の美少女が現れた。


「え? もしかして、鈴木さん?」


 クラスメートもびっくり。


 そう、蘭先輩。髪を染めるのをやめて、地毛の金髪に戻したみたい。


 カラーコンタクトも外して、元の蒼い瞳に。


 金髪はともかく、休日の公園フィールドで蒼い眼は見慣れてるから、わたしは違和感なかったけど、他の人達には激震だった模様。


 一体何事かと、取り囲まれる蘭先輩。説明におおわらわ。




 二つ目。




 ホームルームが始まってすぐ、先生がのたまわれた。


「早速だが、転校生を紹介するぞー」


 どやどや。


 担任の先生に呼ばれて教室に入って来たのは……


 えーーーっ!?


「大阪から越してきた、鈴木方菜かたな言います」


 なんと、あの、展示会の日に公園フィールドで出会った関西弁の女の子だった。


「てゆーか、同い年だったのね。てっきり中学生かと」


「それはこっちのセリフやで、ちんちく団子」


 ちんちく団子って……まあ、髪型、相変わらずお団子だけど。


「まさかこの学校に転校して来るとか……あり得ないですわ」


「それもこっちのセリフやっ! なんでアンタらがこんなとこにっ!」


 本来なら、他のクラスメイトに取り囲まれるはずの転校生。


 始業式とホームルームが終わった後、顔見知りだったわたしと蘭先輩が独占中。


 他のクラスメイトは遠巻きにそんなわたし達のバトルを観戦?


「ってゆーか、逆さプリンやめたンかい。カラメル無しのプリンはあンまりやで。てっぺンだけ黒ぉ染めなおしたら、普通のプリンにできるンちゃぅ?」


「うるさいですわね。そんな事はどうでも良いでしょう、スズキ・カタナさん」


「カタナ言うなや。方菜かたなや。いンとねーしょンに気ぃ付けぇや、スズキ・蘭」


「フルネームはやめろ」


「ふン。お互い様やで」


 まあ、『鈴木』さんって多い苗字だから、被ってるのは仕方ないとして。


「二人とも、バイクなの?」

 素で突っ込んでみる。


「ああああ。言うなやぁ。アホ親にクッソみたいな名前付けられて常時凹ンどンねん」


「……製造販売終了のスクータよりはカッコイイじゃないですか」


「やかましいわっ! 現在進行形で毎度突っ込まれるもンの身になってミぃやっ!」


 どっちかと言うと、『漫才を観覧』に近いのかな?


 この二人、面白い。


 わたしも傍観。


「それぅたら、このちンちくりンも大概やろ? 永依夢エイムてなンやねン、エイムて。こんなちっこい身体なりで鉄砲振り回しよったら反動で飛ンでまうやろ」


「ぐはっ。飛び火やめてぇええ」


 わいわい。


 かしましい?



 そんなこんなで、二学期がスタート。



―――――――



「……と、言う訳で、明日の土曜日は日の出十五分前にオオタカしま集合ね」


 金曜放課後。方菜ちゃんに明日の予定を伝える。


「オオタカ島、うたら、公園の東の方にある池やな……って、何しれっと集合させよン!?」


 さすが関西人。ボケと突っ込みにキレがある?


「女の子一人でウロウロすると危ないよ? 信頼できる大人も一緒に居るし、安心だよ?」


 他に特に用が無い場合を除いて、だいたいの土日祝日はカワサキさんが同行してくれる。カワサキさんが居なくても、シンさんとかに着いて周る場合もあるけど。


「あー……うー……」


 うなりながら思案中の方菜ちゃん。可愛い。


「まぁ、他に知り合いもおらンし、こっちの公園フィールドに慣れてるもンの案内あるンは助かるっちゃぁ、助かるンやケど……」


 ぶつぶつ。


「こいつら、カメラマンやしなぁ……」


 マンじゃなくて、ガールだよ!?


 まあ、人って意味の総称ではマンで合ってるか……


 それはさておき。


「まぁ、とりあえず、しゃぁない。付きぅたろやないか」


「まったくこの子は……えらく上からですわね。あ、位置的にはかなり下からですが」


「やかましいわっ!」


 ちゃん、ちゃん?





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