第8話:お正月でも、写そう!



 新年、あけまして、おめでとうございます!


 と、言うわけで、元日です! 元旦です! はぴにゅやー! おめでとう新年!

 テンション高いな、我ながら……


 朝から近くの神社で初詣。その後、車でお父さんの実家へ。


 それはさておき。いや、さておかなくても別にいいんだけど。

 カメラも持って行ってはみたんだけど、お父さんの実家は都心に近くて撮影できそうな場所はなかった。なので、家でイトコたちとゲームで遊んで終了。


 お年玉はがっちりもらいました。ええ。がっちり!


 こほん。


 二日はお母さんの実家へ。


 お母さんの実家は、お父さんの実家とは逆に、都心から離れる方角。

 こちらはイトコも誰も来てなくて、子供はわたしだけ。

 ヒマだったし、天気もよかったので、カメラを持って散策へ。輪ゴム雲台も持ってきている。


 すぐ近くにため池があったので覗いてみると……

 お? 早速。なんだろう、あれ。


 池のほとり。護岸のコンクリートの上、見たことの無い鳥さんがいらっしゃいます。

 茶色っぽくて、ちょっと小さめ。ハトよりは小さいけど、スズメよりは大きい感じ?

 池のほとりのブロックの上をちょこちょこっと歩いている。

 三脚をセットしてカメラで……


 おお?


 実際にカメラで狙いを定めようとすると、雲台の動きがぎこちない?

 そりゃそうか。ゴムで無理な力を加えてるんだから当たり前と言えば当たり前。

 違和感はあるけど、動かせない訳じゃあない。

 割りばし照準器で狙いを定めてズーム。くちばしがすごく長いね。


 ぱしゃり。

 とりあえず、撮ってみる。

 と、思ったら、わたしに気付いたのか? しゅっ、と、飛び去ってしまった。

 は、速い。

 あわてて照準器で追いかけてみるけど、速すぎて追いかけられない。さらに輪ゴムのせいでスムーズに動かせなくて追いにくい。


 で、今の鳥さん。

 翼を広げると、茶色だけではなくて、白い線の模様が見えた。カワセミさんほどの華やかさはないけど、ちょっとキレイ。初めて見る鳥さんだった。あとで調べよう。


 池の上を見ると、他にも水面に浮かんでいる鳥さんがちらほら。


 茶色いのがほとんどだけど、黒っぽいのとか、白っぽい……白? あれ? 白黒? パンダ!?


 その白黒のパンダさんみたいな鳥さんを狙ってファインダーで拡大して見る。ほんとにパンダさんみたい。何これ。変わった鳥さんなのかな? わかんないけど、撮っちゃえ撮っちゃえ。


 そのパンダ鳥さんはじめ、池に浮かぶ鳥さんたちは、たまーに背伸びして翼をパタパタせている。飛び立つ訳でもなく、何をやってるんだろう?

 と、思ったら、『パンダ鳥』さんと近くに居たもう一羽のカモさんが同時に羽ばたいて飛んだ。

 あわてて照準器でおいかけてシャッターを切る。切る。切る。


 カシャシャシャシャ。


 『パンダ鳥』さんは、どこかへ飛び去る……と思ったら、上空をくるくると旋回したあと、もとの場所に戻ってきた。


 なにがしたかったんだろう?


 鳥さんの考えがわかる訳もなく。


 照準器で撮ると、実際に画面にどんな風に写っているか、写ってないかはプレビューを再生してみないとわからない。

 ってことで、早速、プレビュー確認!


 ぉぅ…。


 ぐっすん。ほとんど撮れてないや。


 画面の真ん中に写ってるのはほとんどなく、写ってても上へ下へ、右へ左へ、ズレまくり。

 ピントも合っていないのがほとんど。

 それに、動かしながら撮ったせいか、ブレているものばかり。


 いやん。いっぱいシャッター切ったけど、結局。


「おおおおおおっ!?」


 あらやだ。お下品にも本当に叫んでしまったわ。きょろきょろ。周りに誰も居なくてよかった。焦り。


 一番最初の方に撮った分で、1枚だけキレイに撮れているものがあった。

 ブレてない! ピントも多分、だいたい合ってる! しかも、二羽とも映ってる!


 うょーっし。

 

 意気揚々、三脚を担いで……さすがに雲台のネジはロックして……今度は池のまわりをぐるっと周って反対側の森へ。


 オオタカさんの居る公園でおじさんに教えてもらった『シジュウカラ』さんや『ヒヨドリ』さんはどこにでも居るみたい。

 でも、まだ見たことのない小鳥さんもちらりほらり。

 鳴き声も聞こえるけれど、何が何やら。

 とりあえず、練習も兼ねて目についたものを片っ端から撮ってみる。


 でも、ちょこまかと動き回る小鳥さんを追いかけて撮るのは結構難しい。

 照準器のおかげで停まっていれば、わりと素早くファインダーの中に入れられる。

 だけど、動き回られるとすぐに見失ってしまう。輪ゴム雲台がスムーズに動かないのもちょっとストレス。


 慣れもあるだろうから、ひたすらチャレンジ。


 それもあるけど、失敗したのはスカートで来ちゃったことだった。

 スカートが低い樹に引っかかってちょっとやばい。んー、パンツじゃないとダメだね、これは……


 なので、一通り撮った後は早々に切り上げ。


 おじいちゃんおばあちゃんの家に戻ってキレイに撮れてる写真をスマホへ転送。

 カメラ側をスマホ接続モードにすると、スマホのブラウザ機能でカメラの中の写真を一覧できて、その中からスマホに保存する感じ。


 スマホの画像検索機能を使って名前のわからない鳥さんを検索してみる。


 最初に池で撮った子は『イソシギ』さん、だった。


 なになに、ふむふむ。図鑑みたいなのも出て来たので、そっちにジャンプして内容を読んでみる。

 ふむふむ。みかけの特徴、鳴き声、棲息地、見れる季節、等など。声を聴けるサイトもあるのね。


 あのパンダ鳥は『ミコアイサ』さん。

 解説によると、やっぱり『パンダガモ』とも呼ばれているらしい。だよね~、わかる~。


 お年玉で図鑑を買おうと思ってたけど、これならいらないかな? 

 でも、いちいちスマホに転送してからじゃないとダメだから、その場で確認できる『紙』の図鑑はあった方が便利かもしれない。


 森の方で『カワラヒワ』さん、『シメ』さんなどの小鳥さん。池の方では『カルガモ』さんに『オオバン』さんなどの水鳥さんたち。


 ネットの図鑑によると『ミコアイサ』や『シメ』は渡り鳥で、冬に見れる鳥さんだそうで。

 渡り鳥って言葉は自体は聞いたことがあったけど、季節によって見える、見れないってことなのね。今は冬だけど、春、夏、秋……そういえばおじさんも『春になればサンコウチョウが……』って言ってたよね。


 それ以外は、だいたい季節に関係なく年中居て、あまり珍しくないっぽい。

 珍しくないとは言え、わたしにとっては身近に居るスズメ、ハト、カラス、あとはカモぐらいしか知らなかったので、もし見ていても気付いてなかったんだろうな。

 多分、わたしだけじゃない。普通の人はだいたいそうだろうと思う。


 家族にも撮った写真を見せて聞いてみたけど、『ミコアイサ』は両親も見たことないなって。

 おじいちゃんは『冬になると毎年裏の池に来てる』って言ってた。

 ふむふむ。確かに図鑑に書いてある通りなのね。


 そして。


 なんで突然、バードウオッチングなんて始めたんだ、って理由を聞かれてちょっと焦ったけど、お茶濁しでしれっとスルー。


 そんなこんなで、夜、お母さんの実家から自分の家に戻ってお風呂タイム。


 ふぅ。


 そうだよね。


 なんで突然?


 そんなコト、わかってる。


 逃げてるだけ?


 確かに、そう。苦しい想いをしたくないから。


 それでいいの?


 わかんない。


 冬休みが終わって、三学期が始まって、学校で、『彼』に会ったら……


 ざばっ。


 今日は、もう、寝よう!


 明日も早起きして、れっつ公園!


 ……


 あ、充電しとかなきゃ……


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近況ノート:ミコアイサ写真

https://kakuyomu.jp/users/nrrn/news/16817330653599687489






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