第31話:GW③~サンコンさん、いらっしゃーい!
キビタキさん、オオルリさん、ムシクイさんと、幸先よい滑り出しの
残念ながら、二日目は雨模様で出動ならず、お
大半の写真は『ピンボケ』『ブレブレ』『写ってない』状態で、ほとんど削除。
削除のボタン操作を繰り返してたら指が痛くなったよ。
連射モードで撮ると削除する数がハンパじゃないんで、なるたけ連射機能は使わず手動で連射。
パソコンでまとめて削除とかできないか相談してみないと。お父さん、パソコンとかめっちゃ詳しいんで、聞けば色々教えてもらえるはず。
写真の整理の休日の後、谷間の平日は学校。
平素とは違って球技大会が開催されてちょこっとお祭りムードっぽい雰囲気で。
そして待望の連休!
さあ! サンコウチョウさんだ!
ちなみに。
カワサキさんや蘭先輩も含めて公園の常連さん達はサンコウチョウさんの事を『サンコン』さんと呼んでるらしい。
サンコウチョウさんは言いにくいから、わたしも『サンコン』さんで行こう。
で、そのサンコンさん。
蘭先輩が『運』と言ってたように、なかなか会えない。
会えるとしたら、キビタキさんやオオルリさんとほぼ同じ場所だとか。それこそ『運が良ければ』と期待して。
早朝はオオタカさんが居ればオオタカさん。居なければツバメさん。
暖かくなってきたら、渡りの小鳥さん達を探してうろうろ。
キビタキさん、オオルリさん達にはいっぱい会えたよ!
でも、サンコンさんにはなかなか会えない……。
そんな
『……ホイホイホイ』
少し離れた森の方から、鳴き声が聞こえて来た。
「ちょ? 今のって!」
「サンコン?!」
「こっちですわ!」
声が聞こえた森に三人そろって、ダッシュ!
『日、月、星、ホイホイホイ』
近付くと、はっきりと声が聞こえる。
声のする方向……高い樹の上の方……を見上げると、そこに。
蘭先輩は担いでいた三脚を降ろしてカメラを向ける。
三脚は持たず手持ちだったわたしは、すぐに照準を合わせる。
カワサキさんは三脚を降ろした後、どこかへ電話をかけている模様。
「……あ、シンさん? サンコン出た。……うん、カワセミ池の南。園路の内っ側」
お仲間さんに情報共有かな?
わたしも蘭先輩も夢中でシャッターを切りまくる。
カワサキさんも電話を終えて合流。
サンコンさんは少し止まってまたすぐ飛ぶ。
けどそんなに遠くまでは飛んで行かない。
狭い範囲をちょこちょこと飛び回っている感じ。
一瞬だけど止まってくれるので、ぎりぎり、なんとか撮れるタイミングもある。
夢中になって追いかけていると「あまり近付かないで」と蘭先輩に注意された。
ごめんなさい。
蘭先輩とカワサキさんの動向も注意しつつ、二人より前に出ないようにしないと。
そうこうする内、カワサキさんから連絡を受けたお仲間さん達がぞろぞろとやってきた模様。
気配に気付いて振り返って、驚いた。
何十人!?
ざっと見ただけでも、三十人ぐらいは居る?
そんな多くの人達が参戦してきたため、さっきのわたしと同様、夢中になりすぎて深追いする人も出てきた。
狭い範囲で飛び回っていたサンコンさんが、少し遠くに飛んで行ってしまう。
「追いかけるな!」
「じっとしてろ!」
カワサキさんや、そのお仲間さんが声をかけるけど、聞こえないのか、無視してるのか? 深追いする人が続出。
もっと近くで大きく撮りたいって気持ちはわかるけど。
深追いしすぎてサンコンさんを追い越して反対側に回り込んだ人がいた。
その人に追われる形でサンコンさんがわたし達の方に向かって飛んで来た。
そして、わたしの目の前の木に停まった。うわー。
撮りまくり。
あ。
向こうからこっちに戻ってきた人に追われる形でサンコンさんがまた飛んだ。
わたしの頭の上を越えて……あれ? どこ行った??
後ろを振り返って探してみるけど、見当たらない。
「
カワサキさんが教えてくれたけど、えええ? わたしの? 真上!?
見上げると。
うそー、めっちゃ真上。頭の上の木の枝に止まってらっしゃる。
首を九十度近く曲げて、真上にカメラを向ける……めちゃツライ、首が痛い、不安定、撮り辛い。なんか良い手は……?
そうだ!
わたしは、背負っていたデイバッグを降ろして地面に置いた。
それを枕代わりにして、仰向けに寝転ぶ。
こうすれば、普通にカメラを構えて、普通に撮る事ができる。
カメラが重力で顔に押し付けられるので、安定感も抜群。
あははは。いいな、コレ。
ただし、真上なのでサンコンさんの白いお腹しか撮れないじゃーん。
むう。
とかやってたら、またサンコンさんが飛んだ。
今度は、もっとずっと遠くの方へ。
どうやらまた勢いよく近寄った人が居たみたいだ。
あーぁ……
呆然と飛び去る姿を見ながらそのまま寝転んでたら……。
「
「……永依夢、貴女、何やってますの? 間違って踏んでしまうところでしたわよ」
カワサキさんと蘭先輩が心配そうにわたしを覗き込んでた。
「あ、いや、真上だったんで、この方が撮りやすいかなぁーって」
てへぺろ。
「何事かと思って心配したよ……」
「もう、脅かさないでくださいまし」
「うう、ごめんなさい」
気付けば、二人だけじゃなく、周りの人もてへぺろったわたしを見て笑っている。
しかも、なんかさっきより大勢。人数も増えてるしー。
サンコンさんを撮ってた人達は、当然真下に居たわたしを取り囲むように立ってるから、注目のまと?
ぎゃー。めっちゃ恥ずかしい。
あわてて起き上がってデイバッグを拾う。
「もう、背中、汚れてますわよ、ほら」
ぱんぱん、と、蘭先輩が背中に付いた木くずや落ち葉を
「ありがと、蘭」
そんな事もありましたが、どうやら、サンコンさん、運良く撮れたみたい。
プレビュー確認するのが楽しみなような、怖いような。
撮れてなかったら、鳴く!
じゃなくて、泣く!
「よし。サンコンも撮れたし、明日はチョウゲン行くか」
「はい、おじさま!」
え?
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近況へのリンク
サンコンさん、撮れたかな?
https://kakuyomu.jp/users/nrrn/news/16817330658050045841
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