第91話:ホテル到着っ



 時間的には、さほどでもなかったけど。


 地方線と違って、都心の環状道路は混雑していて、気を遣うのもあり。


 配慮してくれた涼子さん、カワサキさん。


 環状道路を抜けたところのサービスエリアで休憩して、再出発。


 再度、別の地方線へと入れば、車も少し少なくなって、スイスイ。


 照り付ける日差しは厳しいし、足元から湧き上がってくるエンジンの熱気もキついけど。


 ヘルメットの風防シールドを、少しだけ開けて。


 頬を撫でる風が。


 心地良い。


 まぁ、ライダースーツの中やらヘルメットの中自体は汗でぐっちゃぐちゃ、だけどね。



 さて。


 高速を少し走れば、もう、目的地への出口。


 合流と同じように、でも、合流よりは少し楽に、出口の車線へ、移動。


 もちろんだけど、左後方確認からの左折ウィンカーを出して、三秒後。


 再度左後方を確認して、サイドミラーで右後方も確認しつつ、左に寄せる。


 車線が変わったら、ウィンカーのプッシュボタンを押して、ウィンカーの点滅を止める。


 車だと、ハンドルの角度で自動的にウィンカーが止まるらしいんだけど。


 バイク……少なくとも、わたしが乗ってるバイクにはそんな機能は、付いてない。


 だから、たまに、ウィンカーを切り忘れることも、あり。


 恥ずかしい、と、言うより、危険なので、注意注意。


 車線を変えたら、アクセルを戻して、半クラッチでエンジンブレーキもかけつつ、減速も開始。


 出口車線の制限速度まで落として、さらに、ETC出口をゆるりと通過して。


 一般道へ合流。


 一時停止はきっちりと両足着いて、一時停止。


 右見て左見て、右後方と右を確認しながら、右折合流ぅ。


『ほな、ホテル直行すんで』

『了解』


 スマホのナビに目的地は投入済み。


 みんなの声と並行して、ナビの音声も入る。


 基本的に、視界に蘭先輩と方菜かたなちゃんが居るから、それに着いていけばいいんだけど、念のため。


 高速道路と違って、一般道だと信号とかで隊列が分断される場面も、多々。


 カワサキさんいわく。


 ナビとか無かった時代は。


 タンクに乗せたバック……タンクバックに地図を入れて、それを見ながら走ってたんだって。


 タンクバックの上面が透明になっているのは、そのためらしい。


 自車位置とか、どうやって把握してたんだろう?



 そして。


 一般道に入って、速度が落ちて、混雑してくると、暑さが、いや、熱さが、半端無くなる。


 うぅ、冷たいシャワー、浴びたいよぉ。


 ホテルに着いたら、真っ先にお風呂と言うか、シャワーよ、シャワー。


 しゃわわわわーっ! って。


 あと、冷たいビールをぐびぃいいっ、って。


 はわわ。


永依夢エイムちゃん、ふらついてるよ? もうちょっとだから、頑張って』


 ぉおっっと。


 後方のカワサキさんからの突っ込み。


 と、言うか、下手したら、追突されちゃう。


 やばいやばい。


「は、はい! 頑張ります!」


 そんな感じで、でも、なんとか、どうにか。


『とぅちゃぁああああああく!』


 先行する方菜かたなちゃんの、雄叫び。


『ふぅ……やっと到着ですわ』


 続けて、蘭先輩。


「着いたぁあああああああっ!」


 わたしも、雄叫ぶ。


『あはは、まだまだ元気そうだな、みんな。ウチはもうヘロヘロだわ』


 カワサキさん。


 声の調子からは、全然、ヘロヘロじゃないっぽい?


『カラ元気っちゃつやってやつです


 方菜かたなちゃんのおっしゃる通り。


 真夏のバイクは、地獄ぅうううううっ。


『バイク止めたらウチの車集合な。荷物渡すよって』


「はーい」


 今回は、涼子さんに車を出してもらって、荷物を積んでもらってるから、楽々。


 そうじゃなければ、背中にカメラバック背負って、バイクの後ろに三脚やら着替えやら、荷物満載になってしまって、大変。


 バランスも変わるし、荷物が落ちないか、気が気じゃなくなるのもある。


 特に、三脚とか落っことしたら、大事故になりかねないから、ね。


 これでもかっ! ってくらいにしっかり固定しないと、ヤバいし。


 ぎちぎちにしちゃうと、ロープが切れるかもだから、少しの遊びは必要だし。


 このあたりの技術ノウハウと言うか、コツとかも、カワサキさんから教えて貰ってるけど。


 実際には、自分でやってみないと、その微妙な力加減とか、わかんないもんねぇ。


 だから、今回は、涼子さん、ありがたし、です。



 さて。


 バイクを駐輪場に止めて。


 ヘルメットを脱いで、左手にぶら下げて。


 ライダースーツの前を、ばーん! と、解放して。


「生き返る……」


 ライダースーツの下は、ブラトップにTシャツ。


 なので、はだけると、ちょっと恥ずかしいけど。


 言ってらんない熱さ!


 涼子さんの車に積んでもらっていた荷物を受け取って。


 ホテルのロビーに入ると。


「生き返るぅうううううっ!」


 わたしだけじゃなく。


 方菜かたなちゃんも、蘭先輩も。


「ふぅ……ほんと、生き返るなぁ」


 カワサキさんも。


 バイク組は。


 ホテルの空調……クーラーの心地よい事、この上なく。


「わたし、ここに住むぅううう」


「ええで? 自腹でやったら、な」


 ぉふぅっ!?



 ま、まぁ。


 ともあれ。


 ホテル、チェックイン、です。


 さーさー、シャワーっ! シャワァーっ!




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余談……


 途中で永依夢エイムが『車のウィンカーは自動的に切れる』って言ってますが、曲がる角度によっては、この機能が上手く働かず、ウィンカーが点滅しっぱなしになる場合が、あります。


 ちょうど、ウチの近くの交差点にこの罠がしかけられており、交差点が直行ではなく、少し角度の付いた交差点のため、曲がる方向によると角度が浅くなって、ウィンカーの自動消灯が働かず、着きっパに。


 地元のヒトだと、手動ですぐ消すけど、一見さんが、消し忘れてずーっと付けっ放しに(笑)

曲がった先に、さらに曲がり角がいくつもあるので、ほんとに危ないです……。


 あぁ、なにやら交通安全エッセイになりつつあるうううう。


 次回。


 やっと、鳥撮り復活、です?







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