概要
トランペットを続けるつもりで樫宮中吹奏楽部に入った美緒が任されたのは、よりにもよってっ、「チューバぁぁぁ!?」。陰キャラの先輩に謎の試練、クセだらけの部員たちとの練習を経て、初ステージとなる夏の合同演奏会で、美緒が体験した「まさかの五小節目」とは!? 名曲「音楽祭のプレリュード」を巡って、チビッ娘チュービストの小さな成長を描く、ハートフル(?)音楽ストーリー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「文章ならでは」の名演奏は存在する。
手放しで褒められる傑作ではありません。
本作はそこそこ長く、中だるみもあり、登場人物は迷走しがちです。
でも、最終回は掛け値なしに最高です。
それまでの不満を全て吹っ飛ばすほどの、圧倒的な破壊力で締めくくられます。
まさに、終わりよければ全てよし。
途中で読み止めてしまうのは、あまりにもったいない。
誰かにそう伝えたくて、思わずレビューを書きました。
本作の舞台は中学の吹奏楽部ですが、圧巻なのはその演奏描写。
文章でこそ「聴く」ことが出来る演奏もある、と知りました。
著者は学生時代、自他ともに認める吹奏楽狂だったとか。
音楽に疎い私ですが、作品の随所に込められた著者のこだわりは、否応なく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!音楽バカとロリチュービストとぬいぐるみのマックス
この作品は、音楽のどこかにクマのぬいぐるみマックスを探す小さなチュービスト美緒と、吹奏楽部の個性豊かな音楽バカのみなさんが送る青春音楽作品…のように見せかけたコメディ作品です!
美緒が望まむ形で入ったチューバパートでの練習中に感じた違和感から、様々な騒動に彼女は巻き込まれていきます。
(本人が望んでいるかは別として)騒動に巻き込まれていく彼女はマックスがいると踏んだトランペットパートに行くことはできるのか、それともマックスがいる感覚は別の場所にあるのか、美緒を騒動に巻き込んでいく上級生の思惑とは!
音楽バカの贈るクスッと笑える音楽コメディ作品です!
11月22日
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!クセ強めの主人公と、いなさそうでいそうな部員たちが奏でる青春幻想曲
自分が吹奏楽をやっていたのは高校だけなので、中学の吹部事情はあまり知らない。
日本全国の至るところでこんなやり取りが繰り広げられているのかもしれないし、もしかしたら「美緒ちゃん」の物語の中には、こっそり作者の実体験が含まれているのかもしれない。
全話読み終えてしばらく経った今日、ふと気になった。
美緒ちゃんが大人になってから、物のはずみでこの吹部生活を思い出した時、果たして彼女は何を考えるだろう。
懐かしいなあ、くらいで済むだろうか。
大変なことも色々あったけど楽しかったなあ、と青春の思い出を噛み締めるんだろうか。
……いやいや。
もし私が美緒ちゃんだったなら、もう二度と思い出さなくて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「吹奏楽」を愛する「大人」と「思春期」の学生に読んでもらいたい一作!
中学の吹奏楽部のお話です。この手のお話だと「響けユーフォニアム」という名作がありますが、あれは「高校生」のお話、これは「中学生」のお話です。
なんだ「中学」と「高校」なんだから、そんなに変わらないじゃないか?と思うじゃないですか?それが、大違いなんですよ。ある程度の規律を「中学」で学んだ「高校生」の物語と、これから「規律」を学んでいく「中学」では、全然違うのです。
そう「吹奏楽」は「みんなの心を合わせなければ」、うまく鳴らないのです。「先輩」と「後輩」のワガママゆえの葛藤、「中学生」ならではの「問題の向き合い方」と「挫折」。作者さまは「中学生という世界」を、じつに客観的に正確に捉え…続きを読む