クセ強めの主人公と、いなさそうでいそうな部員たちが奏でる青春幻想曲

自分が吹奏楽をやっていたのは高校だけなので、中学の吹部事情はあまり知らない。
日本全国の至るところでこんなやり取りが繰り広げられているのかもしれないし、もしかしたら「美緒ちゃん」の物語の中には、こっそり作者の実体験が含まれているのかもしれない。

全話読み終えてしばらく経った今日、ふと気になった。
美緒ちゃんが大人になってから、物のはずみでこの吹部生活を思い出した時、果たして彼女は何を考えるだろう。
懐かしいなあ、くらいで済むだろうか。
大変なことも色々あったけど楽しかったなあ、と青春の思い出を噛み締めるんだろうか。

……いやいや。

もし私が美緒ちゃんだったなら、もう二度と思い出さなくて済むように記憶の端っこへ追いやるんじゃないだろうか。
あるいは小説という創作物、フィクションとして記憶を塗り替え消化し、ネットの海へポイと放り投げるんじゃないだろうか。
どうか永遠に「幻想」の中で生きてくれ、ってね。

さて。
「あなた」は、この部活動体験記を読んで何を思い出しましたか?

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