いきなり大ピンチ、どん底から、這いまわるように努力を重ねていく経済新聞記者である主人公。
パン屋さんを祖業とする上場企業を取り巻く創業者、経営者、株主、さらに新聞社たちや社内の派閥も絡み合い構成されてゆく複雑なパズル。
物語は予測不可能な展開へ進んでいきます。
登場人物たちの複雑な心情や動機が緻密に描かれ、物語の中に巧みに散りばめられた伏線が、徐々に回収されていく。作者の計算された構成力は圧巻すぎです。
新聞記者現場を知り尽くしていて、経済の知識も抜群だからこそのリアリティが支える経済エンターテイメント。
私としては2023年で一番面白かったと言い切れる小説です。
ぜひ、読んでみてください🎵
36話まで読んだ時点でのレビューになります。
本格ドキュメンタリーですし、本格ミステリーです。というか、この作者、文章力、構成力、どれをとってもカクヨムでは頭一つ抜けてる作家さまです。ただ、カクヨムという環境が悪いから読まれないだけにすぎません。
でも、だからといって文章が読みにくいというわけでもなく、軽快で、頭に入ってきやすい文章で書かれていまして、普通に文章が上手く、私よりも断然文章が上手いと思い知らされる小説になります。
物語としては、新聞記者の主人公が色々な事件?と向き合っていく「ドキュメンタリー」タッチの「ミステリー」小説です。経済の用語もでてきたり、経済の理屈もちょくちょく出てきたりしますが、それらの知識がなくても、なんとなくわかるように工夫がされていまして、多くの人が楽しめるエンタメ小説です。
ただ、こういう小説は本当にカクヨムでは読まれない。刺さる人には刺さるというレベルではなく、普通に評価されていい作品だと思うし、作者さまだと思うんですけどね……。
大企業のスキャンダルを暴き出す「ミステリー・サスペンス」としての側面もありながら、最近では特に世間で疎まれつつある、マスコミに焦点を当てた「ドキュメンタリー」としても楽しめる物語です。
主人公を取り巻く新聞社や取材現場はつねにヒリついていて、心理や情報の駆け引きのみならず、時間との戦いもある…。
極限状態が続けば、誰もがボロを出すし本性出すし、主人公やヒロインも、精神的に追い詰められたり、記者として急速な成長を見せたりします。
業界の実態にも基づいた「ライブ感」満載なお仕事ドラマを、皆さんもぜひリアルタイムでご覧(お読み)ください。