星喰いのメルク

黄昏 暦

プロローグ

僕は今、絶望的な状況にいる。


やっと就職できた宇宙船ふねだったのに、その宇宙船就職先宇宙海賊船団バンディッツに襲われた。


気が付いた時には宇宙船ふね推進装置ベクトル・ユニットは破壊されていて、

お金持ちから順番に脱出ポッドで出てくるように命令された。


お金持ちはお持ち帰りされて、技術所持者ライセンス持ちは連れて行かれた。


船に残ったのは一般客の皆様とを含む残りの一般乗務員クルー


そのまま置いて行ってくれれば良かったのに・・・

何故かバンディッツの連中はストレスの発散先ほこさきを僕達に向けた。


『貧乏人共。これから俺達の訓練に参加させてやるから、ありがたく思え』

音声スピーカーの向こうで大勢の馬鹿笑いが聞こえる。


『おまえらポッドで脱出しろ、逃げきれたら見逃してやるよ』

なんだよ、そもそも訓練てなんだ?


その命令に従うしか選択肢の無い僕は、宇宙船に

残された脱出ポッドで逃げ出した。


海賊たちは脱出した、いくつもの脱出ポッドをいたぶるように

ワザと低出力のレーザーで攻撃している。


あいつら、どうせポッドの中の生命反応もモニターしているんだろうな。


僕の乗ったポッドもレーザーで穴が開くたび

大慌てで補修材メルトを当てて塞いでいたけど、


せっかくダーナンさんからもらった補修材メルトも、

もういくつも残っていない。


さっき撃ち込まれたレーザーが運悪く船外移動装置ムーブパックを破裂させて

僕の右腕にはその破片が突き刺さっている。


仕方なく破片ごと船外活動服ライフスーツの上からテープを巻きつけてるけど、

赤い血の玉が、そこらじゅうに浮いている。


ポッドの覗き窓から、別のポッドが爆散するのが見えた。


あいつら遊んでやがる。


「死にたくない、やっと宇宙に出れたのに死んでたまるか」


僕は自分に言い聞かせるように、小さく呟いた。

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