第12話 深紅の騎士

連邦代表会議で初の騎士叙勲式

連邦中に、その中継が注目される中


そこに映し出された光景は、連邦中の意識を釘付けにした。


モニターには、全長5000m深紅の超弩級戦闘旗艦クリムティア


舞台の壇上には、深紅の騎士服に身を包むと傍に寄り添う


その、赤と黒のコントラストが兎姫の黒いドレスと共に注目を集める。


なにより、その頭部にある二本の耳が、今まで情報の無かった


古代文明の生き残りというパワーワードと共に話題の中心になるだろう。


同じ画面の一部でありながら、視聴者の視線は

釘付けとなった。





はじめはジーキンスさんの

「それでしたら、アースライ様。こういう趣向はいかがでしょうか?」


この言葉から始まった。


「あの、赤い巨大艦の映像を見た後でノーチェお嬢様の漆黒を見た時に感じたのです

 この2つの色を組み合わせたら素晴らしいコントラストが出来ると。

 漆黒のドレスを着たお嬢さまと深紅の騎士服のアースライ様、そして

 モニターで深紅の巨大艦を見せれば、失礼ながら、かなりの視線がお嬢様と

 巨大艦に向くのでは無いでしょうか?」


僕は、その言葉を


「ジーキンスさん、それで行きましょう!!」


結果は上々、みんながノーチェとクリムティアを見ている。

ありがとう、ジーキンスさん。





【ジーキンス】


やれやれ、人をその気にさせるのも大変だ。

あの程度の小細工で騎士への注目が減る訳無いのにね。

まあ、気持ちよく壇上で振る舞ってくれていたようで安心しました。



【マクギニア新議長】


騎士叙勲式のリハーサルに黒い兎の女の子(他にどう表現すればいいのか?)を

連れて来た時は驚きを通り越して、リハーサルの開始が2時間遅れてしまった。


連邦中に中継された叙勲式の本番中も、赤い巨大艦と兎の少女について

運営事務局への問い合わせが殺到してきた。


それよりも・・・だ。

各星系代表が映し出されたモニターには呆然とする代表たちの姿があったが、

その中にステラファス星系のダラテス国王の姿もあったぞ。

アースライ君、あれはちょっと可哀想じゃないかな?






スライグレンダに戻って来た。

第1飲食フロアーに行くと・・・・


緑の髪の少年が座っている。


「エーディク、工房に籠ってたんじゃなかったっけ?」


『今は、他の4人が使っている。アレに割り込む気にはなれない』


「そうなんだ」


『アクリメラの居住エリアの整備が終わったので、何かやる事を探している』


「それなら。え~っと、スライグレンダ、メルク、ちょっといいかな?」


〖どうした、メルクのマスター?〗


≪アースライ、何かあったか?≫


「実は、連邦代表会議に行くのにクリサリスで直接行ったら怒られた。

 今度から、小型宇宙船で惑星上の宇宙港行に行くようにと。

 ここに、小型宇宙船ってあったかな?」


〖小型用のドックならいくつも空いておるぞ〗


≪船体も推進装置も簡易AIもあるな≫


『それなら、1機作ろうか?』


「エーディク、急がないけど、お願いして良いかな?」


『いや、する事も無いし、さっそく取り掛かろう』




惑星アクール 新宇宙港 マーメイディア宙港


今日は久しぶりのネウ・ホパリアからの花嫁ツアーが到着する。


『惑星ネウ・ホパリアからお越しいただいた1000人の花嫁候補の皆様

 只今、惑星アクール マーメイディア宙港に到着いたしました。

 到着後は、第1海中都市に移動して頂き、歓迎レセプションを行いますので。

 海中送迎船マリンシップに移動をお願い致します』


アナウンスを聞いて、ちょっと引っかかったので、

隣に座るマグカ代表に聞いてみた。

「マグカさん、この宇宙港の名前、前からマーメイディアでした?」


「いや、悪い。色々設備が間に合わないんで、マーメイドにちなんで

 とりあえず、名前だけでもそれっぽく改名してみた」


「前の名前は何でした? 覚えてないんですが」


「唯一の陸だから、モノ・ランド。正式にはモノ・ランド宙港だな、

 みんな単にとしか呼ばないから、以前から誰も呼んだ事ないけど」


「それで、第1弾にスペシャル・イベントのマーメイドイクリプスの祝福を

 入れてきたわけですか」


「ああ、10日後の午後4時、イクリプスに合わせてスペシャル・イベントを開催する」


「それは、楽しみですね」


「ところで、アースライさん。その赤い騎士服はどうした?

 今までは、式典でも騎士服なんて着て無かったよな?」


「連邦の騎士の叙勲を規約を渡されました。

 式典と名の付く行事には騎士服着用の義務があるそうです」


「受けた後でかよ・・・」


「はい、次に何かある前に、必ず騎士服を作ります」


「じゃあ、ノーチェの嬢ちゃんも、

 それに合わせた服を作って貰わないといけないな」


ノーチェが、その言葉にピクッと反応して、こちらを青い瞳で見つめる。


「そうだね、その黒いドレス以外にも、色々服を買おうね」


ノーチェがうれしそうにニッコリ笑った。





《マスター、申し訳ありません》


ルジェからのイメージ伝達、式典中だから気を遣ったのかな?


ルジェ、どうしたの?


《ノーチェがリンカー経由で、服を買ってもらう喜びの感情を爆発させました》


えっ?


《この星系内にいるサイファとチェリムから、

 同行を求めるメッセージが入ってきています》


それは・・・しょうがないね。ルジェも一緒に行こうか?


《マスター、申し訳ありません》


いや、謝らなくて良いよ。


《いえ、チェリムから。アリシアさんとミーシアさんも同行すると

 先ほどメッセージが入りました》






後日、連邦の騎士叙勲を終えたばかりの、超の付く有名人である

深紅の騎士アースライが漆黒の兎姫を含む6人の美女や美少女と共に

ショッピングをする様子が連邦中に届けられる事になった。






※申し訳ありません。とうとう話のストックが切れました。

毎日投稿してきましたが、今後は投稿頻度がかなり下がります。

今後も、私の拙い文章に、お付き合い頂けましたら幸いですm(__)m

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