第4話 緊急記者会見

惑星ブレーナム 中央情報集積センター


【ギフカス・ハント代表】


ブレーナム政府内では、ずっと温めて来た計画の実行時期を

さっきまで話し合っていた。


しかし、実行に踏み切るには、もう一つ欲しい


そのが、なかなか見つからない。


こうなったら実行時期自体を数年後に遅らせざるをえないか?


『ギフカス、聞こえるか?

 今、ちょっといいか?』


惑星アクール代表マグカから通信?

この星系間通信の普及で惑星アクールとも

普通に会話が出来る様になったのはありがたいな。


「どうしたマグカ? 俺に気をつかうなんて、らしくないな。なにかあったか?」


『ああ、おまえに謝らないといけないんだ』


「なんだよ、前置きはいいからはっきり言えよ、水臭いな」


『実は今度、アクール独自オリジナルの観光スポットが出来るんだ』


思わず笑ってしまった。


「はは、何を言ってるんだ。完全海洋惑星アクール半海洋惑星ブレーナムじゃ、そもそも環境が違う。

 同じ事は出来ないし、何をやっても独自オリジナルだろうが」


『違うんだ、アースライさんが絡んだ、連邦でも初めての観光スポットだ』


「アースライさんがなんで?」


が絡むと、話が大きくなって色々な方面に影響が出る。


実はブライダル・シップのお陰でこの惑星に来る観光客の数もかなり増加している。


『あの人、アクールでを見つけて来たんだ』


「・・・何をだ?」


『すまないが、それはこれからするんだ』


「発表? そういえば、そっち、騒がしいが? お前、今どこに居るんだ?」


『今か? 惑星ガルチノアのギダノ重工本社だ』






惑星ガルチノア ギダノ重工本社 特設記者会見場


惑星アクール マグカ・ギョリョウ代表 

アースライ・グランクラフト

ギダノ重工 ドーラス・カイネン会長

惑星ステラ エレネシア・ステラファス第1王女


緊急記者会見


ざわざわと記者の声が騒がしい、前にしつらえられた席に4人で座る。

席の後ろには、大きなモニターが設置されている。


司会さん、よろしく。

『ただいまより、緊急記者会見を行います。

 まずはアースライ・グランクラフト氏から』


『ステラファス星系の、アースライ・グランクラフトです。

わたくし、アースライ・グランクラフトが古代遺跡文明が残した物を調査して

修復しているのは、皆さんご存じかと思います。

その調査の過程で発見がありましたので報告をさせて頂きます』


「アースライさん、

 今回、惑星アクールのマグカ・ギョリョウ代表とギダノ重工の

 ドーラス・カイネン会長、そしてステラファス王家の第1王女が

 ご一緒なのは何か理由があるのでしょうか?」


『はい、その発見場所が惑星アクールであるのと、

 ギダノ重工のドーラス・カイネン会長とステラファス王家には、

 その保護に協力頂く事で合意いたしました』


「それほどの内容とは、いったい」


『はい、今回、偶然ですが。惑星アクールにおいて、

 古代遺跡文明の生き残りの種族を発見しました』



会場から・・・音が消えた。



一瞬後に爆発したような各社の質問が飛び、収集がつかない。


『静粛に、収集が付かないようなので、こちらから情報を出させていただく。

 見つけたのはコチラだ』




モニターに海中を泳ぐ大勢のアクリメラの姿が映し出される。


『水棲タイプの古代種族、伝説だとマーメイドと言うのでしょうか?』





会場に2度目の大声の爆発が起きた。





爆発が納まったのを見てマグカさんが声をあげる


『我々アクール政府はこの水棲種族アクリメラの生息海域の保護を宣言する。

 なお、現時点で生息海域周辺100km以内への接近は禁止。

 海域の警備はアクール政府とアースライ・グランクラフト氏で行うものとする』





やれ、取材依頼だとか、研究機関の派遣だとか騒がしいな・・・と聞き流していたが


「あの~ アースライ氏、もしかしてに騎士資格をはく奪されました?」


・・・気付かれたか


『え~と、なんのお話しでしょう?』


「確かにステラファス王家所属の騎士の立場だとアクール政府への

 内政干渉ととられかねませんよね?」


『もし、騎士のままだったら、そうかもしれませんね』


「もしかして、ステラファス王家との決別も嘘ですか?」


『ステラファス王家と決別? そんな事はしていませんよ。

 今もこうして第1王女に協力頂いてますが?』


「確か・・・政府に対して

 僕の持つ全てを使い徹底的にあがらうつもり・・・と宣言されたのでは?」


『当然ですが連邦の今の法律には、

 今まで未発見だったマーメイド達に関する法律は存在しません。

 マーメイドを密猟者から護る法整備もこれからなんです。

 なので、僕の大事な友人であるマーメイドを

 アクール政府で保護対象に認定してもらって、

 僕が持つ全てを使い徹底的に護りますが?』


「・・・では、あなたの国を作るとは?」


『マーメイド達の自治体を作ります。

 実は翻訳時の行き違いでマーメイド達の代表を引き受ける事になりまして。

 この代表、任期は1年なんですが、どう翻訳しても

 国王と表記されてしまうので、そのままにしています』


マグカ・ギョリョウ代表が大きい声で宣言する


『というわけで、惑星アクール政府は、マーメイド保護区を設定した。

当分の間は保護区に接近は禁止させてもらう。

近づけば、アースライ氏が力ずくで排除する。

マーメイド達の研究協力やも計画中だ。

その時は盛大に宣伝をするので楽しみにして頂きたい』






【マグカ・ギョリョウ代表】


さて、会見がおわった。


「ああ、ギフカス、会見見たか?」


『ああ、ちょっとが、みたぞ。

 お前、ズリィ~ぞ、なんだよマーメイドって』


「アースライさんが騎士資格捨てての協力要請だぞ、しかも断ったらマーメイドを

 連れて星系を出て行く準備までしてた。これを断れるかよ」


『そっちじゃない。どう考えても

 どうすんだ?』


何を言ってるんだ・・・コイツ

「ん、当分、保護区には接近もできねえぞ」


『何を寝ぼけた事を言ってるんだ・・・・

 アースライさんがを計画中なんだぞ

 ギダノ重工もなんか計画してるんだろ?』


「ああ、観光用のクルーザーを製作中だ」


『やっぱりか、もう観光は折り込み済みじゃないか。

 次は黙ってても大手観光産業から惑星アクールに

 レジャーホテルの誘致だろう?』


「え?」


『クルーザーと違ってホテルなんてすぐには建てられないんだ。

 あと小型宇宙船用の地上ポート整備計画も進めないと

 連邦の検査員が来ても許可が降りるのに時間がかかるぞ。

 それと関係政府機関には早く警告出しとけよ

 おそらく土地の買収業者はもう宇宙船に乗ってアクールに向かってるぞ』


「いや、そんな・・・」


『ファクマス星系に連邦中の資本を集中させた人だぞ、

 その重要人物の行動なんざ連邦中の資本家が注目してるに決まってるだろ』


「ギフカス、協力を・・・・・」


『悪いが、これから政府主体のリゾート都市計画を始める、

 こっちは当分協力は出来ないぞ』


「・・・どうして?」


小型宇宙船で移動できる場所アクールに連邦中から人が集まるんだ。

 この機会に前から計画してたリゾート都市計画を進めさせてもらう』


「ギ、ギフカス・・・・・いつのまに」


『すまないな、嫁に口止めされていてな。まあ、そっちも頑張ってくれ』


「クソ、ウチは現地なのに出遅れてるじゃないか。

 ところで、さっき言ってたアクシデントって何だ?」


『ああ、単に通信機器のトラブルだ、また恒星フレアの影響らしい』


「そういや、最近妙に多いな、恒星フレア」

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