閑話 絶望

【イシュメラーナ星系に住む男性】


ここはイシュメラーナ星系、宇宙の果てにある絶望の惑星だ。


連邦に助けを求めに行っているが。それが不可能な事は皆わかっている。


ここに住む40億の人間を5年以内に脱出させるなんて不可能だ。


恒星の温度を下げたり惑星の公転軌道を恒星から遠ざける方が

まだ現実味リアリティがあるくらいの絵空事だ。


それでも、俺は絶望の中なんとか生きてきた。


『40億人の脱出方法と退避先が確保できました。

 まず1000万人乗り込んでください』


俺の妄想は、とうとうここまできたか。


思わず笑ってしまった・・・なんだ、俺は笑えたんだな。


『次の1000万人の搭乗を始めてください』


『次の1000万人の搭乗を始めてください』


ああ、わかっているよ、嘘なんて事は。


この驚異的なペースでも星が滅びる方が早いんだ。


しかし、こんな嘘でもつかないと誰も救えないよな。


このペースなら滅亡までに5億人も助かるんだ、誰にも文句は言わせない。


俺は、その嘘に騙されてやるよ。


『次の1000万人の搭乗を始めてください』





『皆さんに内緒でイシュメラーナ星系近くの恒星系で

 テラフォーミングを行っていました』


おい、いくらなんでもこの嘘は無いだろう。


俺の周りですさまじい歓声が上がっている。


「「「「「ホパリアに祝福を」」」」」


心底こころからおどろいた。


誰もが現状こことのあまりの違いに呼ばなくなったこの惑星ほしの名前


【ホパリア(希望の場所)】をまた聞く日が来るとは思わなかった。

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