閑話 ファクマス星系政府議会紛糾

※前話に作中にあった臨時議会でのお話しです。



ここは、ファクマス星系第4惑星ネウ・ホパリアに急造された


臨時政府庁舎内にある、議会会場。


現在、イクラエ・サンサード代表に対して、

の開示を求めて議会が紛糾ふんきゅうしていた。




いかにも切れ者といった雰囲気の若い議員が、疲れた顔のイラクエ代表に言い放つ。

「代表、今度こそ開示してもらいますよ」


「サーミア・ホップス議員、何度も言うが、ダメだ。

 この情報はネウ・ホパリア政府として、絶対に開示するわけにはいかない」


「いや、開示してもらいます。でなければ、国民に説明がつかないでしょう?」


「これだけは、ダメなんだ。こんなものを見たらぞ」


「何を大げさな、と言っているだけですよ。

それの、どこに国民が絶望する内容があるというんですか?」


「ダメなんだ、国民が、コレを見たら気が付いてしまう

 君達だって、コレを見たら後悔するぞ」


サーミア議員が不敵に笑う


「やはりそうですか。こちらで独自に入手した情報によると、

このファクマス星系への輸送費用ののですよ。 

文化財か何か大きな大事なモノを内々秘密に処分して。

その資金を予算に組み込んだのでは無いですか?」


「国家の資産で売却できる物は、ちゃんと議会に通してから売却している、

 妙な言いがかりは やめてもらおう」


「なるほど、では売却したのは何かの利権か星系外にある政府の隠し資産

 といった所ですか?

 イクラエ・サンサード代表、実は、今回の『イシュメラーナ星系脱出計画』

 の金銭記録も秘密裡にコチラで入手しています」


「サーミア議員、やめたまえ、その情報は重要な国家機密だ。

それは機密文書漏洩にあたる犯罪だぞ」


「何を言うか、金銭記録入手が違法なら、これは国家の犯罪だ。

これこそが告発すべき内容だ」


「バカな、余計に公表出来ないんだ。まだわからないのか?」


「うるさい、今、各議員の手元に金銭記録を送った。

 この現政府が犯した犯罪の証拠を皆で確認してくれたまえ」


サーミア議員の言葉と同時に、各議員の手元に情報が送られる。


「サーミア議員・・・あなたは、なんて事をしてくれたんだ」


イクラエ・サンサード代表が崩れ落ちる。


議員それぞれが、情報に目を通して・・・・


その中に、見てはいけないモノを見つけてしまう。





「代表、なんだコレは?」


「だから、言ったんだ。見たら後悔すると」


イクラエ・サンサード代表は、力なく笑っている・・・


「説明しろ、どうして・・・が・・・なんだ?」







「それは・・・騎士アースライが、何も受け取ってないからだ」


「なんだと?」


「連邦内の多くの星系代表に移民への協力を呼び掛け、

1年以上拘束、1億以上の人を運ばせて、テラフォーミングを完了、

連邦に輸送業務の誘致にまで行かせたあげく、

星系をまたいだ婚活パーティーまで主催させておいて

それでもファクマス星系政府が何も支払ってない・・・からだ」


「ふざけるな・・・そんな事があってたまるか」


推進剤ガスの費用はおろか、運んだ人間の食料にいたるまで、

 1ダルスたりとも支払ってないからだ」


「いったい何をしている・・・ファクマス政府」


「騎士アースライ自身、絶対に受け取らないだろうが

 ・・・サーミア議員、ならば聞こう?

 実際に騎士殿への報酬を計算するとになると思う?」


「何?」


「あの機動衛星の分でも試算してみたが、移動距離と運んだ人数を考えれば

それだけで政府予算なんてすぐに消えてしまう」


「そんな・・・」


「今の政府では、報酬を渡したくても渡せないのだよ」


「なんてことだ」


「もちろん、ステラファス王家にも相談したさ。

あの惑星ほしの騎士に関する経費は全てステラファス王家の負担になるからね」


「ステラファス王家は・・・なんと?」


「ステラファス王家に経費の請求は来ていないそうだ」


「すまない、イクラエ代表。よく聞き取れなかった・・・何が来て無いんだ?」


「ステラファス王家は騎士の経費については国家負担と決められているが、

 騎士アースライから経費を請求された事はいまだ無いそうだ」


「・・・こんな報酬、どうやって計算すればいいんだ?」


「我々は、今は見ない振りをして、惑星の復興に尽くすしか手は無いんだよ」




その時、議会会場に緊急事態を知らせる警報が鳴り響いた。


「いったい何があった?」


「ステラファス王家エレネシア第1王女から緊急連絡です。

ガス採取業者が星系外から持ってきた、第6惑星の突入軌道にある岩塊が

古代遺跡文明の危険物と判明、突入すれば大規模災害に発展する可能性があり

現在、騎士アースライが機動衛星で、岩塊の軌道変更にあたっている。

万一の場合を考慮して、国民のシェルター避難を準備して欲しいとのことです」




「ほら、やっぱり・・・我々は、今は見ない振りをして、

 惑星の復興に尽くすしか手は無いんだよ」




※恒星炉とフードクリエイターのフル稼働で推進剤と食糧費はゼロです。

一日に最低3万食を提供することで、フードクリエイターの経験値が急上昇中


各星系政府も今回の機動衛星とブランシュに対しての駐港費用等は基本的に

免除されています。

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