第40話 殺意・・・だったの?

ステラファス星系 


王宮に通信れんらくして婚約者アリシアの居場所を確認する。


その情報を元に王宮のに飛び込んだ。


「すみません、アースライです。帰還が遅くなり申し訳ありませんでした」


「どうしたのかなアースライ君、そんなに慌てて?」

疲れた顔の国王陛下


「そうよ、アースライ君、息を切らせてどうしたの?」

疲れた顔のエレネシアさん


「アースライ、海鮮とチーズ美味しかった?」

ニッコリ笑う婚約者殿アリシア


反射的に身体が強張る・・・カレナさんは・・・・しまった、おいて来た。


「いや、アブリム星系では、色々あって、それどころでは無かったんだけど。

 それよりもアリシアをガルチノアに置いていってしまった。本当にゴメン」


「ステラファスの騎士様の行動はマスコミにチェックされてたわよ。

 ・・・3つの惑星の、お見合いツアーまでね」


「そうだったんだ」


良かった、あまり怒って無いように《見える》。


「まあ、詳しい説明はゆっくり聞くけど。

 それで、アースライ、これからどうするの?」


「色々と妙な事が有ったけど、ブランシェの予定がやっと空いたので、

 アルファ1のスライグレンダの所にノーチェを連れて行こうと思ってる」


「わかった、私もついて行くけど、妙な事って?」


「この星系に来る途中で固定砲台クレモアを使った待ち伏せに会ったんだ」


「待ち伏せ? 宇宙空間で? 偶然じゃ無くて?」


「そうみたい、その固定砲台クレモアは無力化して、連邦軍に通報したきたんだけど

 それ、固定砲台クレモアじゃ無かったみたいなんだ」


「なんだったの?」


「対艦攻撃衛星だって」


全員が沈黙して、注目が集まった。


「アースライ君、対艦攻撃衛星を待ち伏せに使うなんて、

 確実に君を殺しに来ているぞ」


「王様、ブランシェもシルキスタも無傷だったので、

 てっきり固定砲台クレモアだと思ってました」


「アースライ君、その時の状況を詳しく教えてくれないか?」


「はい、ルジェ、あの時の映像を出してくれる?」


『了解しました。映像出します』






「アースライ君、これは状況から診ても間違いないだろう。

 君はガルチノアのギダノ代表の入念な暗殺計画を

 返り討ちにしたようだね」


「いや、会った事も無い人ですよ。なんで、そんな人から狙われるんですか?」


「会って無くても、向こうの思惑は潰して来たからね。

 しかし対艦攻撃衛星4基が破壊か?

 さすがにコレは隠蔽出来ないだろう。

 総額にすると、どれだけの損害だろうな?

 ギダノ代表とギダノ重工の責任だけで済まないだろうし

 ガルチノア経済にも大きな影響が出るな。

 この分だとギダノ重工関連の株式は早急に手放さないといけない」


王様が悪い顔をしている。


「ねえ、アースライ?」

アリシアが困った様な顔をしている。


「どうしたの、アリシア?」


「あなたの行動はマスコミにチェックされてたんだけど。

 まさか対艦攻撃衛星を破壊したシーンとか見られて無いよね?」


固定砲台クレモアだと思って、気にして無かったけど

 大丈夫じゃないかな?」


近くにいたのはガルチノアの戦闘艦だけだったし、大丈夫でしょう。




それから、あのテキストを取り出して。


「あと、エレネシアさん。お借りしたテキストは全て終わりました。

 チェックをお願いします」


「・・・もう終わったの?」


「ブランシェの中でずっとテキストに取り組んでましたから」


そこで、一人考え込んでいたミーシャさんが、ふと思いついたように

「エレネシアさん、ちょっと良いですか?」

「どうしたのミーシアさん?」


「いえ、今回の事も、もう一人誰かが宇宙船の資格ライセンスを持っていれば、

 シルキスタと一緒にアリシアさんを迎えに行けたかなと思って」


「私が一緒に行ければ大丈夫なんだけど、そういう訳にはいかないからね」


「なので、私が宇宙船の操船等の関連資格を取得してみようと思います。

 いいですか? アースライさん?」


「ミーシアさんが望むなら、僕はOKだよ」


「それは、良い考えね。チェリムにテキストを送っておくわ」


「ありがとうございます」




「ところで・・・」

エレネシアさんが真剣な顔でこっちを向いた、えっと何をやった僕。


「こちらからもアースライ君に伝えなければいけない事があるの」


「なんでしょうか?」


「まず、シルキスタの中の中継器マイスを全て宇宙港に降ろしておいて」


「ステラファス《ここ》で降ろしてよかったんですか? 了解しました」


「それと中継器マイスなんだけど、になったわ」


「そうですか、


中継器マイスについては、全部ステラファス王家にお任せしたから

王家の利益だよね?


あっ、何気なく僕が発した言葉に、エレネシアさんのコメカミが引きつった。


「アースライ君!!」


「な、なんでしょうか?」

大きな声に思わず、直立不動になった。


「君、自分の預金口座カードの残高って確認した?」


「いえ、してませんよ。次の特別支援金もまだですし・・・

そういえば、中継器マイスを設置した時に宇宙海賊船団バンディッツを3組、

連邦軍に引き渡しましたから、

その分の報奨金が入っているかもしれませんね」


「アースライ君、中継器の買取費用については、

 どの星系政府も権利を主張しないし

 税金を掛けない事で決着がついたわ」


「・・・・・どういう事でしょうか?」


「全部、アースライ君の口座に入ってるわよ」


「・・・いくらですか?」


「最終的に中継器1個が10万ダラスに決まったから、

 合計1億5000万ダラスかな?」


「・・・特別支援金7500年分ですね」


「今、シルキスタの中にある分を含めると1万5000年分を

 超えるんじゃないかな?」


「僕、年額2万ダラスでも持て余したんですが・・・どうしましょう?」





「それでは、衛星軌道でシルキスタから中継器マイスを降ろしてから、

 アルファ1に向けて出発しようか?」


「ええ、ブランシェの中で、今回の件、ちゃんと説明してもらうからね。

 婚約者殿アースライ


 ブランシェとシルキスタで空間転移ポートに向かった。






『GNNガルチノア・ネットワーク・ニュースです。


 主星ガルチノアに激震が走りました。


 軍需王手企業、ギダノ重工中枢部からの重大発表です。


 前連邦代表議長にして前ギダノ重工会長チルキダ・ギダノ氏ですが


 ステラファス王家、アースライ・グランクラフト氏の暗殺を計画。


 実行するも阻止されていた事がわかりました。


 騎士アースライの反撃によって対艦攻撃衛星4基が破壊


 この問題を隠蔽しようと連邦軍への圧力を指示した前会長を


 全役員が緊急決議によって更迭しました。 


 まもなく新役員による緊急記者会見が始まる予定です』 

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