第41話 眠れる黒うさぎ
アルファ1星系 中継ステーション・スライグレンダ
ここに
メンバーは、僕とアリシア、エレネシアさん、ミーシアさん、そしてセシリアさんだ
「スライグレンダ、前に言ってたクリサリスと融合したライビ族の子を
連れてきたんだけど、どうすれば良いかな?」
〖コクーンごと出してくれれば、こっちで誘導する〗
「そうか、ブランシェ、お願い」
『了解しました。今、出します』
ブランシェからノーチェが入ったコクーンが射出される。
〖射出を確認した、誘導する〗
射出されたコクーンがスライグレンダの青い3つのゲートの1つに入って行く。
〖ライビ族をメンテナンスエリアに回収した。コクーンを送り返す〗
コクーンが出てきて、ブランシュに帰って行った。
〖メルクのマスター、とりあえず、あのライビ族の簡易チェックを行ったが、
まあ、よく生き残ったものだな〗
「そうだよね。あのクリサリス、頑張ったんだろうね」
〖ところで、クリサリス達にリンカーを使ったのだよな?〗
「うん、ルジェ以外のクリサリスが精神的に不安定になったので安定するようにね」
〖その時に、このライビ族ともリンクが繋がったようだ、ノーチェの名前で
君のマスター認定までされているぞ〗
「いつのまに・・・・」
〖まあ、意識を取り戻して安定するまで、どれだけ掛かるかは分からんが。
安定したら、あの子も連れて行くしか無いだろうな〗
スライグレンダにこちらの近況を話す。中継器の事、そしてブランシュと行った
1000人の花嫁・花婿ツアーのはなし。
〖しかし、メルクのマスター。ずっと
別の宇宙船を用意したらどうだ?〗
「そうなんだけど、今の連邦の宇宙船だと移動に時間がかかり過ぎるんだ」
〖要は、1000人が乗れて、連続転移が出来ればいいのだろう?
疑似人格無しの簡易AIを使うなら、ここにある資材で1隻くらいなら
十分作れそうだが?〗
驚いた僕は、おそらく1分以上動けなかったと思う・・・
「・・・作れるの?」
〖特殊連装型6号転移装置と大型艦の船体、それに簡易AIはここにある。
恒星炉だけは破損したモノしか無いから、それはメルクが来ないと無理か?
内装は宇宙船を持って帰ってから、そちらの種族特性に合わせて作ればいい 〗
ふと脳裏に、ブランシェの泣き顔が浮かんだ。
「スライグレンダ。メルクの手が空いたら、すぐに恒星炉の修復を頼むから
お願いしてもいいかな?」
〖ああ、こっちも、そろそろやる事が無くなって来たからちょうどいい。
メルクのやっている引っ越し作業も、そろそろ終わるのだろう?〗
「予定だと、あと数か月で終わるらしいよ」
そう、長かったイシュメラーナ星系からファクマス星系への
ファクマス星系 ネウ・ホパリア
【リリノ・グーシー】
「こんにちわ、グーシー配送です。ガルチ・ユニット様ですね。
お荷物をお届けにまいりました」
『第2ハッチから搬入しておいてくれる?』
「承知しました」
騎士様に置いて行かれて、早半年。あたしは、この星で運送業を
騎士様が連邦会議に呼び出された後、何故か集団見合いの主催者になっていたのは驚いたけどね。
このネウ・ホパリアからブライダル船が出発するたびに、騎士様に近づこうとするが、周囲の女性の気迫に押されてとても近づけない。
3度目のブライダル船出発を見て、あたしの心は折れてしまった。
あたしには、縁の無い人だったんだ・・・・・あっ!!
ガガガガガガガガガガガガ・・・・・・・・ガキャ
【アースライ】
ノーチェをスライグレンダに託した僕たちは、ブランシェとシルキスタと一緒に
ファクマス星系に到着した。
『マスター、近くで救難信号です』
「ブランシェ、シルキスタ、救難信号の発信元に急いで」
『マスター。どうやら、小型宇宙船が小惑星にはさまって身動きが
取れないようです。すでに別の宇宙船が到着して救助作業に入っています』
「大した事故じゃなさそうだね。大丈夫そうなら、こっちはネウ・ホパリアに向かおうか?」
その時、小型宇宙船の音声通信から、聞いた事のある声が聞こえてきた。
『なによ安全協会。こっちは助けてなんて言って無いわよ』
『こちらは安全協会監視船、そちらの救難信号を受信してやってきました。
ネウ・マッド・グーシー、安全管理法上の確認になります。
『そんなのウチに置いて来たわよ』
『
『そんなのオーボーよ、ショッケンのランヨーだわ』
『ネウ・マッド・グーシー、その小型宇宙船を保険適用で修理するなら。
どちらにせよ、安全協会発行の事故証明が必要になりますが?』
『いいわよ、これくらい。修理せずに使うから』
『やめてください。その場合、今度は航宙船舶安全使用義務違反になります』
聞いてるだけで頭が痛くなってきた。
「これは、どうしたらいいかな? やっぱり無視かな? 僕としては安全協会さんに味方したい気分なんだけど?」
ブランシェ(子機)がニッコリと笑顔を見せ
『マスター、私に任せて頂けますか?』
なんだろう、首筋がチリチリする。
「まかせてもいい?」
『はい、お任せください』
それは、いつもの慈愛に満ちた笑みとは違う、酷く冷たい笑顔に見えた。
『こちらは医療拠点艦ブランシェです。救難信号を受信してやってきました。
ネウ・マッド・グーシー、リリノさん。お久しぶりですねケガはありませんか?
もし、負傷していたなら医療ポッド、コクーンを送りますが?』
『・・・こ、こちらネウ・マッド・グーシー、ケガはありません。
ご心配ありがとうございます。コクーンは結構です』
『安全協会監視船、こちらはステラファス王国所属医療拠点艦ブランシェ、
通信は聞いていました。職務を遂行してください、もし必要であれば、
こちらも捕縛に協力します』
『こちら安全協会監視船、貴艦の協力に感謝します』
少し思いついた事があったので、みんなと相談して
安全協会本部で資格取得の確認が済んだリリノさんをブランシュに連れてきた。
ネウ・マッド・グーシーは事故証明を受け取って、そのまま修理ドックだ
「ところでリリノさん、どうして運送業やってるの?」
「やっぱり開発事業は危険と隣り合わせだから、
安全な運送業に業務形態を換えたのよ」
うん、よく解らないけど、嘘っぽいな。
「リリノさん、運送業が出来るという事は第2種の
「第2種は中型艦まで持ってるけど、どうしたの?」
エレネシアさんと視線を合わせる。OKだ。
「もし良かったら、取得費用はこっちで出すので
第3種大型まで取得してウチに就職しない?」
「就職? 取得費用がタダ?」
「乗ってもらう宇宙船はまだ完成してないけど。
専任操縦士待遇で・・・どうかな?」
「そんな、夢みたいな話・・・いいの?」
「僕も、人を雇うのは初めてだから。保険や補償もキッチリやりたいと思っている」
「やらせて!!」
「よし、それじゃあ。契約関係はエレネシアさんと話してね。エレネシアさん、
後はよろしくお願いします」
よし、これで、新しく作るブライダル艦の操縦士を確保した。
リリノさんを手元に置かずに、監視できる最高のポジションだ。
そして、遂にイシュメラーナ星系からの最後の輸送艦が出発するという
情報が入って来た。
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