第35話 中継器設営作業・・・進まない

クリサリスのメンテナンスというドタバタはあったけど

とりあえず、中継器マイスの数は揃ったね。


しかし、言われてみれば当然だけど、同じソルコアイト文明なのに


年代によって、メルクとスライグレンダで常識に差があるというのは面白いな。







ステラファス⇔ガルチノア 中継器マイス設営作業


「さあ、シルキスタ、ルジェ、メルク子機、今日はよろしくね」


さて、ステラファスとガルチノアの距離は約300光年


中継器マイスの設置は10光年ごとに1個


ステラファスとガルチノアの宙域にも設置すると合計31個


ステラファスには既に中継器マイスは設置済


ガルチノアには連邦代表会議当日に設置する。




シルキスタの特殊連装型8号転移装置は4号4光年転移を連続で行える


10光年の転移には約30分必要だから、


は15時間程で全ての作業は完了する予定だった。


間違えないように、中継器マイスに番号を付けて、No.1から順に落としていく。


30分ごとに中継器マイスを落としていく簡単な作業のはずだったのに・・・・






中継器マイスNo.6 投下完了」


『マスター、宇宙海賊船団バンディッツが貨客船を襲っています。

中型艦が3』


「シルキスタ、グラベル散布、宇宙海賊船団バンディッツ推進装置ベクトルユニット破壊して」


『中型艦の推進装置ベクトルユニット3機とも全て破壊完了しました』


「連邦軍に通報、シルキスタは連邦軍がくるまで、貨客船の護衛」


『了解』


連邦軍の到着まで、通報から3時間・・・・






中継器マイスNo.9 投下完了」


『マスター、宇宙海賊船団バンディッツが貨客船を襲っています。

中型艦が5、小型艦は2』


「シルキスタ、グラベル散布、宇宙海賊船団バンディッツ推進装置ベクトルユニット破壊して、小型艦は撃墜でいい」


『小型艦は破壊、中型艦の推進装置ベクトルユニット5機とも全て破壊完了しました』


「連邦軍に通報、シルキスタは連邦軍がくるまで、貨客船の護衛」


『了解』


連邦軍の到着まで、通報から5時間・・・・






中継器マイスNo.13 投下完了」


《マスター、近くで遺跡文明品の反応を感知しました》


「シルキスタ、投下作業を一時中断する。メルク子機、

 感知ポイントの座標をシルキスタに送って」





うん、ダメだな

「大きいね、ルジェ、シルキスタ、メルク子機」

《マスター、反応から艦船と思われます》


ブランシュよりは、かなり大きく見える・・・・そして


さっきから、頻繁に探知範囲内に宇宙船の反応がある・・・ここ、定期航路が近いな


「見つけたものの・・・メルク子機、どうしたらいい?」


《艦船の修復を優先するなら機動衛星からメルク本体を取り外して、

ここに持って来るのが一番早いですね。

機動衛星の連邦代表会議までの修復に問題が出ると思いますが。

この周辺は貨客船も多い通常航路付近ですので、

偽装解除して放置すると大騒ぎになる可能性があります

今は見なかった事にするという選択肢はいかがですか?》


「よし、決めた」

《はい》


「シルキスタ。アルファ1に向かう、向こうで相談しよう」

『了解しました。マスター』






アルファ1星系 スライグレンダ


「つまり、アースライ君、君はステラファスとガルチノアの途中で、

 ブランシュよりも大きな艦船を見つけたのね」


「はい、迷いましたが。見つかった場所が定期航路のそばなので

 偽装を解かずに置いてきました」


「機動衛星の修復が終わっていない今、置いておくしかないでしょうね」


≪ああ、その艦船の破損具合によってはその場である程度修復をしないと動かせないからな≫


〖メルク、動かすのが艦船なら、スライグレンダここにあるタグ・チームを使用すれば運べるぞ〗


≪タグ・チームというと、このドックにあった、航行不能になった艦船の移動に使う曳き船か? ダグ・チーム自体は機動衛星で運ぶとして、タグ・チームの推進装置ベクトル・システムでどこに運ぶつもりだ?≫


〖特殊連装型6号転移装置を搭載したメインシップと転移同調装置を積んだサブシップが開発されたんだ。もちろん、空間転移ポートも使用できる〗


≪確かに、それなら≫


〖タグ・チームを使って、スライグレンダここに持ってくればいい〗






翌日、メルクのチェックを受けたタグチームという7隻の小型船は

シルキスタを護衛にして、スライグレンダを出発した。


「メルク子機、タグチームに問題はないか?」

《マスター、問題はありません》


メルク子機をタグチームのキャプテンにして。





およそ12時間後、あの巨大な岩塊にしか見えない代物にたどり着いた。

《各機、指示ポイントへの固定作業に移れ》


岩塊に7機の小型宇宙船が張り付いた。


《マスター、これより連続転移を開始します》

「了解だ、シルキスタもよろしくな」

『了解』





アルファ1星系 スライグレンダ


「メルク、もってきたよ」


≪ああ、お疲れ。今、偽装を解除する≫


岩塊から、パネル状のモノが剥がれて行く・・・赤い? 真っ赤な外装?


「アースライ、大きさもすごいけど、すごく派手な宇宙船だね」


アリシアも驚いているが、エレネシアさんに至っては声も出ない様だ。


〖これが最大規格の5000m級だ〗


「メルク・・・・この赤って?」


≪気が付いたか? この戦闘艦はソルコアイト文明の中でもレオガル、

君達が星喰いのモデルにしている種族の旗艦だったモノだ≫


「やっぱりか」


≪破損状況は、これからメルク子機で調べ始めるが。性能については調べなくてもわかる、間違いなく攻撃力特化だ≫


「そうなんだ、まあ、まかせるよ。明日から中継器マイスの設置がんばってくる」






中継器マイスNo.16 投下完了」


『マスター、宇宙海賊船団バンディッツが貨客船を襲っています。

中型艦が4、小型艦は3』


「シルキスタ、グラベル散布、宇宙海賊船団バンディッツ推進装置ベクトルユニット破壊して、小型艦は撃墜でいい」


『小型艦は破壊、中型艦の推進装置ベクトルユニット4機とも全て破壊完了しました』


「連邦軍に通報、シルキスタは連邦軍がくるまで、貨客船の護衛」


『マスター、宇宙海賊船団バンディッツの増援です。中型艦5来ます』


「増援も推進装置ベクトルユニット狙って」


『中型艦の推進装置ベクトルユニット5機とも破壊完了しました』


「シルキスタ、連邦軍に5機追加した事を連絡して」


『了解です』



それでもなんとか、その日のうちに残りの中継器マイスの設置は完了した。





アルファ1星系 スライグレンダ


予想外の事が色々あったけど、シルキスタで帰って来た。


スライグレンダの居住スペースが整備されたいた。

スライグレンダに案内されて中に入る。


中継器マイス設置完了しました」

みんな揃っているのかな?


『エレネシアさん、ちょっとよろしいですか?』

何故か、ルジェが【現】で現れた。

一体なんだ?


『エレネシアさん。マスターの航行時間が規定値に到達しました』


「ルジェ、ありがとう。これで次に進めるわ」


「エレネシアさん、どうかしましたか?」


「アースライ、おめでとう。航宙船舶の実務時間が規定値を越えたわ。

これで2種資格を取得できるわよ」


「え~と、2種って営業資格ですよね? そもそも僕に必要なんですか?」


「何を言っているの。あくまで避難の為黙認されているけど、営業資格が無いとモノを運ぶのも人を運ぶのも法律違反なのよ」


「それじゃあ?」


「機動衛星で荷物を運ぶだけで2種資格が必要で、

 人を運ぶには3種資格が必要なの」


「まずは2種免許が必要なんですね」


「ええ、だから・・・」


【第2種中型航宙船舶責任者】


【第2種中型航宙船舶操作】


2冊のテキストを渡された。


「連邦代表会議の準備もあるけど、このテキストも見ておいてね。

 これが終わったら大型のテキストを渡すわね」


こうして再び、僕のライセンスとの戦いが始まった。






※ちなみに、アースライが就職した貨客船モーリタニアの船長は

中型航宙船舶責任者のライセンスを取得しています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る