第34話 ステラ・システム・ネットワーク
ステラ・システム・
目の前にあるのは高さ3m程の青い12面体
「メルク これが、そうなの?」
≪あくまで
稼働させて1時間程で
12面体を構成する5角形のパネルの内、
目の前のパネルが、こちらに倒れる様に開いた。
倒れてきたパネルの上に妙なモノが現れた・・・
全長は50cmほど、シルバーをベースに赤、青、黄のストライプが目に痛い。
しいて形状を何かに例えるなら、レトロな紙に包まれたキャンディーだろうか?
キャンディーを包んで、両端を無造作に捻っただけのアレだ
「これが・・・・
≪エレネシア。
「ステラファスとガルチノアの間であれば、
実験する分も含めて、とりあえず100もあれば十分よ」
「エレネシアさん、コレ・・・連邦代表会議で
「アースライ君、連邦の為にも黙っていてはいけないのよ」
「ものすごく嬉しそうですよ」
「アースライ君、今、連邦の代表議長に収まっているガルチノアの
チルキダ・ギダノ代表なんだけど」
「結局、前回の会議に出てこなかった議長ですね」
「ある会社の代表でもあるんだけど・・・
以前、王国の宇宙船導入計画の時に、あそこの会社からね
ずいぶん
「
「中型戦闘艦3機の導入計画だったんだけど、ギダノ重工以外の5社の競争入札になったの」
「えっと、ギダノ重工は?」
「プレゼンの最中に、他の星系政府への贈収賄が発覚してね。
入札直前に、参加資格自体を失ったの」
「自業自得じゃないですか? それなのに、なんで
「おそらく・・・
「はい?」
「ステラファス王家と言う事で、誰かが絶対君主制と勘違いしたみたい。
こっちは議会の予算承認を貰って、代表として来ているのにね」
「その誰かって、売り込む相手の事をロクに調べもせずにやっちゃったわけですか? でも参加資格を失ったのは、他の星系政府への贈賄発覚が原因ですよね?」
「偶然だけど、贈賄発覚のタイミングが、
誰かがまた勘違いしたみたい」
「最悪のタイミングでしたね」
「宇宙船の導入先が決まった後から、補給物資が遅れたり、誤配送や出国審査のやり直しが多発したの。宇宙港管制の管制官から宇宙船の管理責任者資格不備を言ってきた時には、管制室に怒鳴り込んで、その管制官に主席管制官のライセンスを見せながら管制の服務規定違反を1つづつ上げていってあげたわ。あの時は確か23個目で、管制官、泣きながら逃げて行ったわ」
「うわ~」
「その逃げた管制官の
「それは、なんとも」
「それからは、
手続きの後回しとか地味な嫌がらせだけね。今回の会議がすごく楽しみだわ」
「さて、エレネシアさんはドックの調査。カレナさんはシルキスタのフードクリエイターに掛かりきり。
アリシア、今のうちに仮称アルファ3の探索を始める?」
「そうね、待っているより何か探してみようか?」
≪それならば、もうすぐ2個目の
ここからアルファ3までの距離なら2個あれば十分にカバー出来るだろう≫
「そうね、アルファ1とアルファ3で
「カレナさんはシルキスタに乗ったままだけど、ミーシアさん、セシリアさん、メイ王女、一緒に行きますか?」
「「「もちろん」」」
≪メルク子機を連れて行くのを忘れないでくれよ≫
仮称アルファ3星系
仮称アルファ3星系、空間転移ポートからみて、
アルファ1アルファ2に次いで近い星系に到着した。
「エレネシアさん、見えますか? アルファ3は2連星のようです」
『ええ、赤と青の連星がよく見えてるわ』
「こちらも、映像、音声とも問題無いようです」
『15光年くらいだと、タイムラグも無いわね。ちゃんと会話が成立するわ』
「こっちも同じです。大丈夫そうですね」
『ええ、大丈夫ね。それじゃあ実験終わり。映像を切るわよ』
「了解、こっちも切ります」
「よし、実験おわり。メルク子機、遺跡文明の反応はあるかな?」
《マスター、近くに反応はあったのですが、なぜか反応値が不安定です。
念のために警戒をお願いします》
「こんなのは始めてだな。わかった、シルキスタ向かってくれ。
みんなも念のため全員クリサリスを装着して」
「サイファ【
「カナリー【
「アッシュ【
「チェリム【
「カレナさんも聞いて、これから行く場所が危険かもしれないから
念のためにクリサリスを装着して」
「わかったわ、ヴィオラ【
『マスター・・・前方に破壊された宇宙船を発見しました』
「あれが・・・宇宙船?」
おそらく元はシルキスタと同じ中型戦闘艦だったのだろう・・・
宇宙船の前半分が押し潰れているのは、ついさっきスライグレンダから聞いた
星間トラップによるモノだと、今はわかった。
・・・しかし
「どうして、宇宙船が妙な黒いモノに覆われているんだ?」
潰れた部分も含めて黒い透明な樹脂のようなモノに覆われている・・・
《マスター、近似する情報を確認しました。
先の大戦中、ゼブースト文明が使用した
「いや、これは破壊された戦闘艦だよね? 何かの攻撃兵器の痕跡?」
《いえ、破壊されたこの戦闘艦がメルクによる修復が出来ないように
材質ごと変質させる措置です》
「わざわざ、破壊された宇宙船を修復が出来ないように?」
《この方法は大戦中期に、よく使われていたようです・・・しかし困りましたね》
「どうしたの? メルク子機?」
《マスター、この付近の遺跡文明品には全て
使用されている可能性があります》
「そうなるのか? でも、まあ確認しないと次にいけないか。
メルク子機、反応があったら教えて」
《了解しました》
捜索した結果・・・見つかった遺跡品5つに全て
「シルキスタ、スライグレンダに戻ろう」
『了解です』
スライグレンダ
アルファ3の探索は空振りに終わった。
「アースライ君、お疲れ様残念だったわね」
「はい、
〖メルクのマスター、クリサリスのメンテナンスエリアの整備が終わった。
時間があれば受けて行くといい〗
「ありがとうスライグレンダ、クリサリスのメンテナンス?」
ノーチェの事を思い出した。
「スライグレンダ、おそらく大戦の生存者だと思うんだけど、クリサリスと融合したライビ族を預かっているんだ」
〖ああ、メルクからも聞いている。今度ここに連れてくるといい。
回復の保証は出来ないが、現状よりも悪くなる事は無いだろう〗
「ところで、クリサリスのメンテナンスってどんな事をするの?」
〖主に、エネルギーチャージと装着者の肩代わりをして蓄積したダメージの回復だ〗
「肩代わりをして? 蓄積した?」
〖これはクリサリス側にも自覚症状が無いからな。大戦後期には、装着者の負傷をクリサリスが再生した場合は、クリサリスのメンテナンスが義務化された〗
背中に冷たいモノが流れる
「ルジェ、知ってた?」
『マスター、初めて聞きました』
「アリシア、サイファのメンテナンスが最優先だ。
君の身体を半分再生して1年以上たつ」
「わかった、スライグレンダどこにいけば良い?」
全員のクリサリスの急遽メンテナンスを行うことになった。
サイファの無自覚ダメージは大きく、メンテナンスには3日を要した。
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