第3話 騎士剝奪
ステラファス王家 いつもの会議室
王様に惑星アクールで見つけた
騎士資格返上の話をしたのだけど。
「それは、無理だよアースライ君」
今、王様が頭を抱えている
「そうなんですか?」
「騎士資格は王家からの任命だから受諾した後の返上は無いんだ。
もし有るとしたら、王家によるはく奪だけ」
「そうですか? ではアクールにアクリメラの保護区を作ったりは」
「絶対にダメだ。たとえアクールの許可があっても、
それを盾に、ステラファスに何か保護区を作る時に
間違いなく議会で大反対にあう」
「そうですか、いい方法だと思ったんですが。
その場合、アクール政府単体で保護区を作るしかないですね」
「アクール政府単体でも保護区の指定は出来るが、実際の保護は難しいだろうな。
なにしろ保護対象がマーメイドだ、希少性から様々な違法業者が
集団で密漁に来るだろう」
「こうなったら、アクリメラ種族300人を別の海洋惑星を見つけて
連れて行くしか無いですね」
「いや、保護区の考えも方法としては良い方法だと思う。
ちょっと待ってくれるかな?
法務官僚を呼んで来て対策を練らせてみるよ」
そして、翌日。
全員の前に台本が置かれていた。
「王様、なんですか? この玉座を睨みつけるって?」
「お父様、婚約破棄ってなんなの?」
「私、睨みつけてから涙ぐむの?」
「
王様がため息をついている。
「アースライ君はアリシアが任命した騎士なので、先に婚約破棄をしないと
騎士資格のはく奪は出来ないらしい」
「お父様、これステラファス王家のイメージダウンにならない?」
「エレネシア、どうせ一時的なモノだ。
なんせ古代種族の生き残り、しかもマーメイドの保護だぞ。
保護を発表する時にステラファス王家の保護協力を発表すればいい
今まで実績のある花嫁花婿ツアーを少し推し進めて
新たな観光スポットを作るのに協力するだけ、決して内政干渉じゃないぞ。
話題性も大きいし、こんなのすぐに盛り返す、利益の方がとてつもなく大きい」
王様、うれしそうですね・・・・しかし、この台本
「僕、国を創るんだって息巻いてますが、何をしましょうか?」
「アクールの代表と
「でも、お父様、婚約破棄なのよ」
「どうせ、また引っ付いたってマスコミに発表するだけだよ。
マスコミもそれで納得する」
「そっか、今度は私が騎士様を任命して、婚約者になればいいんだ」
「メイ王女、ややこしくなるからヤメテください」
「みんな、リハーサルまでにちゃんと練習しておくんだよ。
演出家も付くからね」
リハーサル当日、演出家は非常に厳しい人だった。
『瞳で怒りを表現しろ』『背中で拒絶しろ』『声を震わせるタイミングが半拍早い』
僕の演技指導に熱が入り・・・・
リハーサルは後日やり直す事になった。
そうして、
僕は騎士資格をはく奪されてステラファスを飛び出し、
シルキスタで惑星アクールに辿りついた。
「マグカ・ギョリョウ代表、秘密の話がしたい。奥様にも秘密だが大丈夫かな?」
「騎士アースライ・・・いや、今は騎士では無いのでしたね」
「ヒト払いをありがとう。マグカ・ギョリョウ代表、
実は新しいブライダル観光プランを持ってきた」
「あなたがですか? アースライ氏?」
「ああ、カップルを乗せた夜の海のクルージングだ」
「でも、そういうのはどこでもやってますよ」
ふっ、あきれているな・・・・
「夜の
マグカ氏の顔が強張った・・・
「・・・どういう事ですか?」
「ステラファスの関係者の立場だと、ヴォイド・デルタに棲むマーメイド達の保護が
出来なかったのでね、王国を抜けてきたんだ。
アクール政府には保護に協力をお願いしたいのだが・・・・どうだろうか?」
「あんた、この惑星で何を見つけてくるんですか?
まさか、その為の騎士はく奪ですか?
こんな無茶をして、もし、私が断ったらどうするつもりなんですか?」
「その時は、マーメイド300名を連れて別の星系に行くさ。
たとえ彼らが、この惑星の先住民族であってもね」
「この星の先住民族なんですか?」
「そうなるな、彼らは古代遺跡文明の生き残りなんだ」
「そのマーメイド達は協力してくれるんですか?」
「成り行きだが、今は僕が彼らの代表になっている」
「無茶苦茶ですね」
「それで、アクール政府の協力は大丈夫かな?」
「ギフカスには悪いですが・・・全面的に協力させて頂きます!!」
「ありがとう、さて次はヴォイド・デルタのナイト・クルージングに使う
クルーザーを手配するとしよう」
「
そんなモノの作成を受けてくれる所ありますか?」
「ああ、一ヶ所、ツテがあるので行ってくるよ」
「ステラファスからは出てきたんですよね?
「惑星ガルチノアのギダノ重工に借りを返してもらうとしよう」
「そこ、あなたの命を狙った会社じゃないですか?」
「だから、その分働いてもらうさ」
「ところでアースライさん?」
「何かな?」
「その芝居がかった話し方、そろそろ止めてもらっていいですか?」
「すまないが、騎士はく奪のリハーサルで演出家に刷り込まれたんだ
当分抜けそうに無い」
「・・・・大変でしたね」
惑星ガルチノア ギダノ重工本社ビル
「失礼ですが、お客様、お約束はございますか?」
「すまないが、予約はしていないんだ。僕の名前はアースライ・グランクラフト
ステラファス王家の元騎士だ」
大慌てで応接室に通された。
相手をしてくれるのは、現ギダノ重工代表のドーラス・カイネン氏
禿頭のオジサンだ。
「大気圏内の低空遊覧に使用出来る、クルーザーの製作ですか?」
「ああ、屋根の無い
静音性能も必要だし、隣のカップルを気にしない様に仕切りも欲しいな、
夜間飛行対応と万が一の救命システム、乗客は100人程度を想定している」
「騎士アースライ、我々の企業の元トップがあなたを暗殺しようとしたことは
もちろん、ご存じですよね?」
「ああ、申し訳ないが、顔も見たことの無い相手に、
そこまで恨まれているとは考えて無かった。
しかし、企業のトップは入れ替わったのだろう?
私も企業と敵対するつもりは無いよ」
「『個人・団体・組織・政府に対して、僕の持つ全てを使い徹底的に抗う』と
おっしゃってませんでしたか?」
「アレを見たのか、演出家に頼んで台本から企業を抜いて貰ったんだ。
だから大丈夫・・・・それにね」
「それに・・・なんでしょうか?」
「そろそろ、ギダノ重工と和解した事を発表するのも良いかなと思ってね」
「それは、ありがたいですね。わが社の株価もそうですが。
あの対艦攻撃衛星の攻撃映像が社内に出回ってまして、
社員のモチベーションがひどく下がっているんです。
アースライ氏と和解したとなれば、社員の気持ちに大きく影響します」
「あの映像が、出回っているのか?」
「ええ、困った事に」
「それはそうと、クルーザーの費用についてだが、
資金は十二分に用意するので安全第一でお願いしたい。
安全設備についても同様だ。
完成すれば、おそらく2番機、3番機を頼む事になると思う」
「承知いたしました。使用される惑星の環境情報をお教えください」
こうして、クルーザーの製作が開始した・・・・・・
どうしよう・・・・言葉遣いが戻らない
※やっと第2部プロローグにつながりました。
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