第37話 天使の派遣依頼

ガルチノス星系 主星 ガルチノア


【アースライ】


あの連邦代表会議における星系間通信ステラ・システム・ネットワークの発表から1週間。


僕達はいまだ、この星から動けないでいる。


どの星系方面から中継器マイスの設置を始めるか、それすら全く決まる様子は無い。


普通に考えれば、連邦を縦断している通称ブルー、グリーン、ホワイトの

3つの航路からだと思うけど、そんな事も決まらない。


あまりに長いので、機動衛星メルクには一足先にファクマス星系に戻ってもらい

イシュメラーナ⇔ファクマスの輸送任務引っ越し作業に戻ってもらった。


マクギニア副議長から内密に何か優先順位は付けられないか聞かれたので。

「それでしたら、イシュメラーナの移民に協力してくれた星系を優先に」

とだけ伝えておいた。


議会には内密だが、シルキスタの中では今もステラ・システム・製造機ビルダー

1時間に1個、中継器マイスを吐き出し続けている。





いけない、おもわず現実逃避をしてしまった。

なんとか、今のこの状況を脱出する方法は無いものだろうか?


連邦代表会議の会場の廊下で・・・


大勢の注目する中、大男2人に土下座されている、この状況に・・・・


「「頼む、ウチの惑星ほしに、あんたの所の使を派遣してくれ。この通りだ」」


・・・白い天使って何?





会場内にある会議室の1室を借りて、そこで話をさせてもらう事にした。


「・・・つまり、ファクマス星系とファーミーティア星系で定期的に開催している

お見合いイベントにそちらの惑星ほしも加えて欲しいと?」


黒い髪の大男が熱く語る

「ああ、俺達の惑星ほしも結婚できない長男や次男三男が大勢いるんだ。

そして、連邦の生産物品評会でファーミーティアの夢の様な

お見合いパーティーのうわさを聞いた。

調べて見たら、妄想ファンタジーじゃなくて事実リアルじゃないか」


茶色い巻き毛の大男が熱く歎願する

「しかも、そのお見合いの主催者に、連邦代表会議から出頭命令が出た。

 これは、ぜひ会ってウチの惑星にも来て貰えるように頼むしかないとやってきた。

 頼む、あの奇跡のブライダル・シップをウチの惑星ほしにも送ってくれ」


「すまないが、マグカさんとギフカスさんだったか? 

 いったいどこの星系なんだ?」


「「アブリム星系だ、場所はブルーラインの端になる」」






2人には少し待って貰って、まずミーシアさんに連絡を取る。

『どうしました、アースライさん?』


「ミーシアさん、今、別の星系からファーミーティアみたいなイベントを頼まれたんだけど。まだ互いの星系に1万人を送ったくらいだよね? 

何か問題は起きて無いかな?」


『そうですね、今のペースだと到着して2週間すると、もう次のお見合いグループが来ちゃいますから。そのあたり、もう少し時間が欲しいという意見が多いです。

なので、次からはファーミーティア側の6つの地域に分けて、到着するグループごとに目的地を替えるようにして、1カ月間滞在してもらうように変更予定です。

ところで、どこの星系なんですか?』


「アブリム星系だって、ブルーラインの端らしいよ」


『実際にアブリム星系に行って惑星の現状を見てみないと、こちらも安心して花嫁候補を勧誘できませんね。それに、人を集めるのならアースライさんのお兄さんみたいな、強烈な印象インパクトが欲しいですね』


「そうだね、まあ、こっちの会議は進まないしガルチノアここに居てもしょうがない。

 そのアブリム星系を見に行こうか?」





二人が待つテーブルに戻って、

「すまないが、見てもらいたいものがある」

と兄貴のホロカードを取り出した。


筋肉質の兄貴の映像が浮かび上がる。


『始めまして。俺はファンダン星系内、

農業惑星ファーミーティア住む農業従事者でプラグレイ・グランクラフトです。

俺と共に人生を歩いてもらえる方を探しています。

ぜひ俺が生まれ育ったこの大地を見に来ては貰えないでしょうか?

貴女の事は俺が命がけで守ります。』


「・・・これは?」

「僕が宇宙に出る時に兄に託されたホロカードだ。

まずは、僕とこの計画の責任者に、あなた方の惑星を見せてもらう。

それから、あなた方の惑星の誰かに。

このホロカードを越える熱い思いを込めたメッセージを作ってもらって

それを、ネウ・ホパリアの女性達に見てもらう」


「熱い思いを女性達に見せるのか?」


「ああ、このカードはネウ・ホパリアの10万人の女性に見て貰った」


「すごいな、このプラグレイ・グランクラフトというおとこは」


「自慢の兄貴だ」


「よかろう、見せてやろう俺達の惑星を」


「もちろんだ、見せてやろう」


「海産の惑星アクールと」


「牧畜の惑星ブレーナムをな」


「・・・ちょっと待って? 2人、違う惑星なの?」


「「アクールとブレーナムは兄弟星、2連星だ」」






「国王陛下、急用でこの星系を離れますので。出来上がった中継器マイス

1500個、御座船に積み込んでいいですか?」


「騎士アースライ・・・どこに行くのかな?」


「はい、から、お見合いパーティーの依頼がありまして、

ミーシアさんと、ちょっと下見に行ってきます」


ガシッ


「どうしました? カレナさん」掴まれた肩が痛いです。


「アブリム星系のに行くの?」


「・・・よく、ご存じですね? 両方です」


「どちらも貴重な食材の宝庫なのよ。私も行くわ」


国王が慌てる

「さすがに連邦代表会議ここに私一人にされては困るぞ」


「じゃあ、アリシアお父様をお願い」


「え~」


アリシアがガルチノアに泣く泣く残る事になった

カレナさんに押し切られたみたいだ。






シルキスタ フードエリア


二人にはシルキスタに来て貰った。

まずは責任者に会ってもらわないとね


「初めまして、星系間お見合いツアー、通称『ブランシュ・ツアー』の

ファクマス星系側の代表をしております。ミーシア・サンサードです」


「アブリム星系代表の 惑星アクール出身、マグカ・ギョリョウです」


真っ黒に焼けた肌の、黒い髪の大男のマグカさん。


「アブリム星系副代表 惑星ブレーナム出身、ギフカス・ハントです。よろしくお願いします」


茶色い巻き毛に顎髭の大男のギフカスさん。


「まさか、『ブランシュ・ツアー』の代表が一緒だったとは、それでは俺達の惑星を見に来てくれるのは?」


「はい、私とアースライさんで伺います」


「では、すぐにアブリム星系に戻りを伝えて来ます」


すみません、カレナさんがそんなに待てません。

「それでしたら、このシルキスタで行きませんか?

 この宇宙船ふねなら2日もあればアブリム星系に到着します」


「アブリム星系は、ここガルチノアから700光年はありますが?」


ミーシアさんが付け加えてくれた。

「それにお二人には、私達にアブリム星系を見せて頂いてから。

 その後、我々の惑星ネウ・ホパリアを見て頂きたいのですよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る