閑話 石の囁き
三角の海
【エーディク】
アースライに頼まれた小型宇宙船が完成したので、
他の4人も誘っての試運転と
この三角の海にやってきた。
『ここに来るのも久しぶりだな。
前は、ここにマセーブクを突き落としたんだっけ』
『そんな事より、早く、アクリメラ達の所に行こうぜ、エーディク』
『ああ、そうだな』
私は樹の箱を手に
5人そろって、この三角の海に飛び込んだ。
この
数々の水中移動のギミックが組み込まれている。
他の4人も似たようなモノだ。
海底に進んで行くと、向こうから大勢のアクリメラがやってくる
『おい・・・マセーブク、アクリメラが、みんな・・・モリを持ってるぞ』
大勢のアクリメラに囲まれている、
その中でも年老いたアクリメラが険しい表情で前に出てきた。
「子供に見えるが? 一体、お前たちは、なんなんだ?」
私は持ってきた樹の箱を、その老人に見せながら
『やあ、アクリメラの諸君、実は、これを返しにきたんだ。
それと、長い間、この箱の中身を預かってもらっていた、その礼に来た』
「礼?」
『ああ、私達が造った
そろそろメンテナンスをしないとな』
険しかった老人の表情がほぐれた・・・
「あんたら・・・・・もしかして【頭の固いストレア】か?」
『マセーブクめ・・・頭の固いは余計だが、確かに我々はストレアだ』
それから数時間かけて、我々は全ての機器のメンテナンスを終えた、
さすが元我らが
「なあ、エーディク?」
「どうした、ダンガ」
「
やっぱり予備が欲しい。もう一台造らないか?」
「造ってもいいが・・・」
「お~い、今は、アクリメラが300人もいるんだろ。
それなら、分子フィルターの発生装置も増やして、
この三角の海も広くしようぜ?」
「アーバス、お前もか? それ絶対に分子フィルターだけで終わらないだろ」
「当たり前だ、排出装置と防衛装置も手を入れる。
前回は材料も機材も足りなかったからな」
「このままにするのは、ストレアらしく無いだろう?」
「ブレンドとチーナはどうする?」
「この惑星に、頻繁に来るつもりならフードクリエイターが必要だな
アクリメラも使えるだろうし作るとするか」
「私は、若いアクリメラに教育しようかな? いずれカナンテッダに乗せるにしても
今のままだと、裸で真空中に飛び出しかねないからね」
「アクリメラを宇宙に連れて行くのか? それならアースライにクリサリスを
用意してもらわないといけないな」
『『『『クリサリス!!』』』』
『そうか、メルクがあるならクリサリスも使えるのか?』
『今、装着者の決まって無いクリサリスが1つあると言ってた。
カナンテッダを使って、他にも探すのを手伝ってもいいな』
『ならば、いずれクリサリスに余裕が出来ればストレア用のクリサリスの研究に
また着手できるかも知れないな』
『ああ、あれだけはストレアの偽体と相性が悪いからな』
そういえば、こいつらは自分の偽体作りに集中して
ノーチェに会わせてなかったな。
『アーバス、ダンガ、すまないが・・・』
『どうした、エーディク?』
『ストレア用のクリサリスだが、実はちょっとアイディアがあってな』
『・・・・・・・・』
『何が起きたんだ?』
『実は、ライビ族とクリサリスの融合した個体が存在していて、
その詳細データも貰っている。同じように偽体に融合できれば
ストレア用のクリサリスが出来ないかなと』
『遂にストレアがクリサリスを
『いや、まだ早い。
そのライビ族はまだ不安定でアースライに貼りついて動かないんだ。
あの子が安定するまでは、とてもでは無いが実験には付き合わせられない』
『アクリメラとストレラで15個、いや20は欲しいな
エーディク、クリサリス探しは頼んだぞ』
私は余計な事を口にしてしまったようだ。
「あんた達、ストレラなの?」
多くのアクリメラから遠巻きに眺められてはいたが・・・
めずらしくアクリメラの方から声をかけてきた。
オレンジのグラデーションのヒレ・・・・似てるな。
『ああ、そうだが、君は?』
「わたしはマセーナル、ここの元王よ」
『ああ、君がアースライをモリを持って追いかけたマセーナルか』
「・・・そうよ」
『いや、アースライから
「レインダ? なにそれ?」
『ほら、君が持っていた虹色の珠だよ』
「ああ、
『あいつ、そんな名前で呼んでたんだ。
泳ぎの一番早い王者の証を作れって言われて作ったんだけど』
「泳ぎの一番早い?」
『そうさ、泳ぎの一番早いモノ 虹色のレインダ 歌の巧みなモノ 金のソムレダ
魚を操るのが上手いモノ 銀のコナタダ それぞれに作ったんだよ』
「残ってたのは、
『それなら、新しく作ろうか?』
「作れるの?」
『もちろん、なんせストレラだからね』
「歌も、魚を操るのも、みんな練習してるから、きっと喜ぶ」
『ああ、今度は特別にイタズラ抜きで造ってあげよう』
「え?」
『前に作ったのは、3つ共壊れる時に高濃度の刺激物質が
広がるように造ってたんだ。
まさか壊れずに残ってたなんて、中々の感動だったよ』
「・・・ひどい」
『いや、これは君達の
「どうして、そんなモノを?」
『純粋にイタズラ目的もあったけど、敵から逃げる時に使えないかなって
言ってたね』
「それじゃあ、相手に噛み砕かれたらって」
『相手に噛ませて、そのスキに逃げて、生き延びろって事だね』
それまで横で聞いていたチーナが、いきなりマセーナルに話し掛けた。
『ねえ、あなた、マセーナルは歌は上手なの?』
『おい、チーナ。いきなり何を聞くんだ?』
「私、歌はちょっと・・・・・」
『歌が下手。これは、マセーブクの遺伝に違いないわ。
あなた、私たちと宇宙に出ない?』
「宇宙?」
『ええ、あなた達の祖先と同じように、私達と宇宙にでるの』
「宇宙って、アースライが来た所よね。そんな所に行けるの?」
『何を言ってるの? 君達の先祖は、この三角の海に来る前は宇宙に居たんだ。
また、戻るだけだよ』
「それなら、行ってみたい」
『君達の
広い海を探していたからね。それを探すのも良いかもしれない』
「広い海?」
『そう、どんなに泳いでも辿りつかないくらい広い海さ
そこで
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