概要
公募作進めつつなので気長にお待ちいただけたら嬉しいです……(2021.05.18)
時は十九世紀末――霧の都ロンドン。
いまだ人外の存在に脅かされるこの世界には、超常の力を持つ『異端者』と呼ばれる人々が存在している。
人形師の弟子ドロッセル・ガーネットもまたそんな異端者の一人だったが、ある事情から出来損ないの烙印を押されてしまっていた。
そんなドロッセルはひょんな事から異界へと迷い込み、謎の青年に命を救われる。
名前も記憶も持たない青年の正体は、死者を元に作られた人形――レプリカだった。
なりゆきで青年と主従契約を結ぶ羽目になったドロッセルは大いに戸惑いつつ、彼に『ノエル』という仮初めの名前を与える。
がむしゃらな少女と、感情が希薄な人形――二人の狂騒の夜
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!こういう信頼関係を求めてました。続きを切望しています
基本レビューは完結したものにしか書かないんですが、本作だけは連載途中でも「レビューを書きたい!」を強く思い、こうしてキーボードを叩いています。
舞台は十九世紀末のイギリス。歯車機構やオートマタが存在するスチームパンクと人造霊魂や人外の化け物の名前が飛び交う世界で、特殊な機械(マギクラフト)と霊気を駆使する見習い人形師の少女・ドロッセルが、異形に襲われて辿り着いた屋敷の奥で死者の魂を基に造られた青年人形・ノエルと出会い主従関係を結ぶ――そこから物語が始まります。
メインとなる二人はそれぞれにある問題と事情を抱えています。
ドロッセルは人形師の礎を築いた天才でありながら国家転覆を謀った父親…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少女は出来損ない、人形は欠陥品。だから、かけがえがない。
現実とは少し異なる、「異端者」によって発展したもう一つの19世紀ロンドン。その異端者の中でも「のけもの」にされる少女・ドロッセルは、誰からも認められない日々を終わらせようとがむしゃらに戦っていた。
そんな彼女に訪れた運命の出会い――というお話。
死者を基にしながら、生前の記憶は一切なく、感情表現も希薄なノエル(仮名)と、ドロッセルの関係は恋愛の気配などさらさら無し。強いて言えば主従関係なのですが、徐々に構築される信頼関係と、ノエルの正体が分かった後の展開が心地よい。
19世紀ロンドンという舞台はとかく魅力的で、かの仄暗い都市の空気も堪能できます。
ただ、短くまとまっていて読みやすいのですが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!確かな筆致で綴られる秀作。神は細部に宿る。
分類は伝奇。ファンタジー的な設定と展開ですが、内容は硬派ですね。で、まずとにかく文章がいい。それはもうとにかくいい。19世紀ロンドンの作品は定番の舞台で私もたくさん読みましたし私も書いたことがありますが、ここまでくっきりと鮮明な背景を描いた作品は限られているかと思います。夜、霧、血、などの黒と赤と深い青を感じさせる秀逸な描写です。そしてこのキャラクター構成、この展開。躍動感のあるアクションもカッコいいです。
しかしなによりこの作品の見どころは、メインキャラクターのドロッセルとノエルの距離感で、これがすごく上手く描かれていて、なんともいえないよさみがあります。エモい(語彙力
こういう舞台と…続きを読む