Ⅳ.感情の嵐の果て
1.黙示録の末尾
『――人間は神の模造品』
ランプの火が揺れる工房。書斎机に向き合い、何かを書きながら男が気怠げに言った。足下には無数の猫たちがじゃれつき、伸びやかな鳴き声を上げている。
ドロッセルは、そんな男の背中をじっと見ていた。
『しかし人に全能はなく、全知もない。啓蒙の時代は終わり、神の国は遠く、無知蒙昧な模造品に溢れたこの地上は、さしずめ
「……何に絶望しているの?」
ドロッセルが問うと、緩慢な所作で男は振り返った。
自分と同じ金の瞳がドロッセルを映す。
『……こんなものを作っても、何一つ変えられなかったことに』
男が手元を示した。ドロッセルはゆっくりと近づき、覗き込んだ。
『黙示録シリーズ』と記された一枚の紙面。連なる名前はリチャード三世、ガイ・フォークス、ワット・タイラー、そして最後に記された名前は――。
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