少女は出来損ない、人形は欠陥品。だから、かけがえがない。

現実とは少し異なる、「異端者」によって発展したもう一つの19世紀ロンドン。その異端者の中でも「のけもの」にされる少女・ドロッセルは、誰からも認められない日々を終わらせようとがむしゃらに戦っていた。
そんな彼女に訪れた運命の出会い――というお話。
死者を基にしながら、生前の記憶は一切なく、感情表現も希薄なノエル(仮名)と、ドロッセルの関係は恋愛の気配などさらさら無し。強いて言えば主従関係なのですが、徐々に構築される信頼関係と、ノエルの正体が分かった後の展開が心地よい。
19世紀ロンドンという舞台はとかく魅力的で、かの仄暗い都市の空気も堪能できます。

ただ、短くまとまっていて読みやすいのですが、同時にもうちょっと尺が欲しいな、という物足りなさもあるのが難点。キャロルとの馴れ初め、名前だけ言及されている師匠のグレース、ヒラリーにパトリシア。そもそも父は……暴走の詳細は……ええいつまり続きはまだか!

というわけで、よろしくお願いしますよ(もみ手)

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