概要
数百年もの時が過ぎて自然環境がようやく生命の住める状態に戻った時、人の遺伝子が保管されていたある施設が稼働を始め、管理AIが遺伝子操作した新たな人類の製造を始めた。カシアもそんな課程で造られた子供の一人で14年間を隔離された部屋で過ごしていた。そんなある日、マトリカリアと呼ばれる教育用ロボットに外へと連れ出され、《エデン》と呼ばれるドーム状の施設でひとりの少女と共同生活を始めることになった。初めて出会った異性に戸惑いながら日々を送っていたカシアだったが、パートナーの少女が決して手をつけてはいけないと言われた《赤い果実》をもいだことで、運命の歯車が大きく動き始める。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!練り込まれた世界観とキャラの個性が光ります
少年である、はじめはなにも出来ない内気な主人公。
覚えのない黒紫色の髪の少女が、頭の中に思い浮かぶところからはじまります。
場所の説明や、キャラの容姿などが非常に丁寧に描かれていて、文字を読んでいるのに、頭の中でクリアに景色や人物像が想像できます。
物語が進んでいくにつれ、主人公がどんどん個性を発揮していき、自分がどのような役割の人間であるかを理解していきます。
その過程が、少年が大人に成長していっているような、そんな気持ちを味あわせてくれます。
文体は丁寧でわかりやすいです。
SFものが苦手なわたしでもすんなり読めたので、ぜひともおすすめします。 - ★★★ Excellent!!!エデンの外へ
現在、第14幕まで読了いたしました。
崩壊後の世界というSF的世界観の本作ですが、設定も文体も読みやすく序盤から引き込まれました。
主人公が目覚めたのは奇妙に清潔で脱臭された一室。
彼はそこで健やかに幼年期を過ごし、やがて箱庭へと向かいます。
囲われた世界にあっても主人公の視点はみずみずしく、読者と共に世界の在り方を学んでいきます。
これらの日常描写と主人公の成長を描く手腕は群を抜いています。
コメディタッチでありながら落ち着いた文体もグッドでした。
知らず知らずのうちに感情移入してしまし、人物のかけあいだけでも読者の心を鷲掴みです。
その上で、本作にはSFのエッセンスがてんこ盛りです。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!未来のエデン
これは、終末戦争後の世界です。
デザイナーズチャイルドが、直観像記憶等の能力を持ち、特別な環境で育ちます。
登場する人物の紹介文が、物語の順に、自然と入って来ます。
主人公カシアが、赤い果実の夢で見た自分らしき存在から、夢の彼女の登場迄、モブも入れてもきっちりとんとんと行きます。
全体的に詩の様に綺麗な文体ですが、しっかりとSFになっています。
マトリカリアは、お守りでは終わらなかったのか。
本で旧時代を知るのは禁忌か。
エデン、シーヴァ、ユメノシマとは何の為にあるのか。
気になる所が、満載です。
バトルシーンとなるとドキドキする迫力がぐっときます。
コメディーの要素もあ…続きを読む