少年である、はじめはなにも出来ない内気な主人公。
覚えのない黒紫色の髪の少女が、頭の中に思い浮かぶところからはじまります。
場所の説明や、キャラの容姿などが非常に丁寧に描かれていて、文字を読んでいるのに、頭の中でクリアに景色や人物像が想像できます。
物語が進んでいくにつれ、主人公がどんどん個性を発揮していき、自分がどのような役割の人間であるかを理解していきます。
その過程が、少年が大人に成長していっているような、そんな気持ちを味あわせてくれます。
文体は丁寧でわかりやすいです。
SFものが苦手なわたしでもすんなり読めたので、ぜひともおすすめします。
現在、第14幕まで読了いたしました。
崩壊後の世界というSF的世界観の本作ですが、設定も文体も読みやすく序盤から引き込まれました。
主人公が目覚めたのは奇妙に清潔で脱臭された一室。
彼はそこで健やかに幼年期を過ごし、やがて箱庭へと向かいます。
囲われた世界にあっても主人公の視点はみずみずしく、読者と共に世界の在り方を学んでいきます。
これらの日常描写と主人公の成長を描く手腕は群を抜いています。
コメディタッチでありながら落ち着いた文体もグッドでした。
知らず知らずのうちに感情移入してしまし、人物のかけあいだけでも読者の心を鷲掴みです。
その上で、本作にはSFのエッセンスがてんこ盛りです。
日常を通して描かれる疑惑や不信感。これらはやがて主人公と対峙し物語は大きな転換点を迎えます。
この先主人公たちがどのような道を歩むのか。
続きも楽しみに読ませていただきます。
これは、終末戦争後の世界です。
デザイナーズチャイルドが、直観像記憶等の能力を持ち、特別な環境で育ちます。
登場する人物の紹介文が、物語の順に、自然と入って来ます。
主人公カシアが、赤い果実の夢で見た自分らしき存在から、夢の彼女の登場迄、モブも入れてもきっちりとんとんと行きます。
全体的に詩の様に綺麗な文体ですが、しっかりとSFになっています。
マトリカリアは、お守りでは終わらなかったのか。
本で旧時代を知るのは禁忌か。
エデン、シーヴァ、ユメノシマとは何の為にあるのか。
気になる所が、満載です。
バトルシーンとなるとドキドキする迫力がぐっときます。
コメディーの要素もあり、口を溶接するという台詞は、笑えました。
ヒマワリが、虚勢を止めた時に、ヒマワリの存在が、あたたかい感じになりました。
この物語では、何か一つできない登場人物が、かえって気になります。
がんばってください。
ぺこり_(._.)_
生まれながらに何かしらの卓越した能力を与えられ、それを活かせる仕事も恋人もシステムが与えてくれる世界で、良い仲間と楽しく暮らしているのが主人公の少年。
夢に出てくる謎の少女に想いを馳せながらも、パートナーとなる別の少女との関係も良好。
仕事もやりがいがあり、満ち足りた生活を送っている。
だが、知的好奇心が強い読書家の彼が、滅亡した旧時代の書物に興味持ち始めたところから、運命の歯車が狂い出す。
人は、知恵の実を食べない方が幸福だ。
危険や悪意に溢れる外の世界より、安全な鳥籠でこじんまりと生きていた方がずっといい。
けれども、果たしてそれで人生を生きていると言えるのだろうか。
それで一生満足できるのだろうか。
『創世記』を下敷きにした『1984年』や『サイコパス』を彷彿させられるディストピアで、少年はどこに向かうのか。
続きに期待。