与えられた楽園しか知らぬ少年が外の世界を知った時

生まれながらに何かしらの卓越した能力を与えられ、それを活かせる仕事も恋人もシステムが与えてくれる世界で、良い仲間と楽しく暮らしているのが主人公の少年。
夢に出てくる謎の少女に想いを馳せながらも、パートナーとなる別の少女との関係も良好。
仕事もやりがいがあり、満ち足りた生活を送っている。

だが、知的好奇心が強い読書家の彼が、滅亡した旧時代の書物に興味持ち始めたところから、運命の歯車が狂い出す。

人は、知恵の実を食べない方が幸福だ。

危険や悪意に溢れる外の世界より、安全な鳥籠でこじんまりと生きていた方がずっといい。

けれども、果たしてそれで人生を生きていると言えるのだろうか。
それで一生満足できるのだろうか。

『創世記』を下敷きにした『1984年』や『サイコパス』を彷彿させられるディストピアで、少年はどこに向かうのか。
続きに期待。

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