概要
泰然として不敵な彼は、私にとって強烈な憧れで、圧倒的な存在だった。
けれど、無敵のテツは消えてしまう。
人を惹きつけ惑わす春の桜が、はらりはらりと散るように―――。
【再度改稿致しました】
①コンテストの規定が【4000~6000字、原稿用紙枚数はとわない】ということになりましたので、この規定に合わせて再び改稿いたしました。(5月22日0時頃)
物語自体に変更はありません。
既に星をつけてくださった方で、改稿後の本作が好みでないという方は、星をはずしてください。お手数おかけします。
②主人公の名前が【ハナエ】から【ハナ】になっています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!人の世も、散りゆく花の、儚さよ。
花はよく、女性に例えられます。可憐で美しい、華やかな姿は確かに女性っぽい。
でも、生物学で考えると、着飾るのは圧倒的に雄の方なんですよね。アピールして雌を惹きつける。惹きつけないと子孫が残せない。で、子孫を残す行為をやるだけやって何をしているかと言うと、他の雌を探しに行くことが多いです。生物界の雄は基本やり逃げなんですね。
ところが、人間は違います。
人間は「無力で生まれてきた赤子を、男女協力して育てる」道を選んだ。この過程においては女性が着飾ります。「いつまでも魅力的でいることで男性を惹きつけ、育児に協力させたいから」。やり逃げは許しません。女性が花に例えられやすいのには、そんな生物学…続きを読む - ★★★ Excellent!!!散った桜を醜いと思いながら、同時に愛おしくも思う。
記憶は時を経て、美化されていく。
桜は毎年、同じように咲き、同じように散る。
記憶の中の桜と、現実の桜の差は広がり続ける。
毎年、現実の桜は劣化していく。
彼女の中にある「あの頃」の彼は、本当に憧れるほどの輝きを放っていたのか。
彼女の目の前にいる「現実」の彼は、実は「あの頃」とさして変わってはいなのではないだろうか。
彼は劣化していく。
彼女の目にはそう映る。
それでも愛おしい。
愛おしいのは、記憶の中の彼ではなく、目の前にいる彼。
彼女が孤高であったという彼は、記憶の中でさえ決して孤高ではない。
彼女に依存することで、そう振舞えていたに過ぎない。
この二人の相性は最高で最悪なの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!男として考えさせられました。
この作品を読むのは三度目になります。
三度読んで毎回とも感じる感想は「突き刺さる」でした。
私は最初何故そう感じるのか判りませんでした。(バカだから)
何故そう感じるのか整理できレビュー書けるようになるまで三度読み直しが必要でした。
成長するにつれてテツへの主人公女性の見方が冷めてくると言うか、実像を把握しつつあるのが感じられる。
自信ある青春時代を誰もが送ったわけではない。
でも、多少は自負している部分を誰もが持っていただろう。
私もその一人。
でもそんなささやかな自負も、いろんな場所で大勢と出会うにつれて失われていく。ああ、自分が自負していたものはたいしたことないんだって。
多…続きを読む - ★★★ Excellent!!!桜が、そして「永遠」という言葉が、象徴しているものは――
高校生の頃、桜の下で出会った、透明感あふれる恋。「若い恋」は、流れゆく時間と共に、「大人の恋」へと変質してゆく。主人公にとって、それは幸せへと向かう過程なのか、はたまた……。
あまりにも衝撃的かつリアリティのあるストーリーに、すっかり度肝を抜かれました。変化するシチュエーションに合わせるかのように各話ごとの文体がわずかに違っている点も、私と「テツ」の二人がじわりと変わっていく雰囲気をさりげなく表現していて、その筆致に圧倒されます。
ラストシーンのその後の展開を幾通りも想像し、希望と絶望の二つの感情にいつまでも揺り動かされてしまいました。